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この春おきた財務省官僚によるセクハラ問題についてのコラム記述をきっかけに、いま『伝送便』誌上で論争が続いている。以下に述べるのは、その論争について酔流亭が感じていること。論者の個々の記事についてここで詳しく紹介しているゆとりはないので、『伝送便』読者ではない方には申し訳ないです。
『伝送便』誌は表紙をめくった2ページ目の上段が目次となっており、下段は【伝書鳩】と題するコラムである(800字ほど)。5月号のその【伝書鳩】に、財務官僚によるセクハラについての記事が載った(『Me Tooを郵政にも』)。Kさんという女性読者に寄稿を依頼したものであり、問題を起こした福田財務事務次官と所轄の麻生財務大臣を厳しく批判したものであって、当然の主張であると思う。 ところが、一号おいて7月号の【伝書鳩】に『男が考える「セクハラ」問題など』という記事が載る。「思っても言っちゃまずいよな」・・・という書き出しからも察せられるように、相当に問題のある文章である。書いたのはNさんという男性読者。 果たして、その内容に対する手厳しい批判が8月号に寄せられた(『7月号巻頭「伝書鳩」を批判する』)。寄稿したのはFさん。男性。これに対するNさんの反論『7月号「伝書鳩」批判によせて』が9月号に載って今日にいたる。
FさんのNさん批判はおおむね妥当だと酔流亭は思う。対してNさんからの反論は、たとえばFさんが出産・育児に関して「女性でなければできないことはそのうちの一部でしかない」と書いているのを「女性ができるのがその一部とのこと」と誤読するなど批判を正確に理解していない箇所があるし、感情的になってもいる。 ただ、あえて言えば、Fさんの文の結び、「目指すべきはジェンダーフリーである」という箇所にはNさんの誤読を招いた面もあったかもしれない。「ジェンダーフリー」という語をFさんは「性差による役割分担の固定化からの解放」という意味で使っているのだろうということは、それまでの文脈から理解できる。しかし「ジェンダーフリー」という言葉に他の意味(性差そのものを認めない)を持たせている論者もいるのではなかろうか。そこから女性労働における女子保護撤廃、労基法改悪(たとえば女性への深夜労働の「解禁」)にそれが利用されてきた経過もあったのではないか。 これに20年先だって、1975年の第一回世界婦人会議(メキシコ会議)は、「婦人の問題は、社会全体の問題であり、婦人の現在の経済的、政治的、社会的状況を変化させることは、婦人の必要を真に充足させることを妨げている構造および態度を変化させる努力の一環とならなければならない」(メキシコ宣言冒頭)として、婦人の解放を社会構造の変革と結びつけた。 つまり、1990年を前後する社会主義体制の崩壊(社会主義的な考えをする勢力の全世界的な後退)をへて、メキシコ会議が打ち出した女性解放の原則を骨抜きし、世界女性会議の「非政治化」を図ろうとする過程の中でジェンダー思想が登場してきたという面もあったようなのである。女性解放を体制変革と結びつけるのではなく、意識の変革にとどめ、すりかえようとする方向である。 ジェンダー思想が言う「役割分担の固定化はやめよう」「男性中心社会の見直し」は、それはそのとおりだし、「意識の変革」だって大事だ。同時に、そうした歴史も心に留めておきたい。
今回の『伝送便』誌上の論争では、Nさんはセクハラということについてあまりに鈍感であったと思う。Fさんがただちに批判を寄稿してくれたのはよかった。そして問われなければならないのは、酔流亭を含む『伝送便』編集部の姿勢の緩さだ。今になって慌てて「勉強」を始める有様なのだから。
by suiryutei
| 2018-09-16 09:11
| ニュース・評論
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