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新人事制度 大阪での報告①~③
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今日(6日)の朝日新聞朝刊、読者からの投稿欄(『社説』が掲載されているのと同じページ)に、「郵便土曜廃止で労働条件改善を」と題する投稿が載っている。投じた主は白井次郎さん。酔流亭もよく知っている方である。『伝送便』誌の長年の読者であり、のみならず寄稿もよくされている。 今朝の朝日への投稿は、先月載った「土曜配達廃止より経営努力を」という投書に対して労働現場から応答したものだ。 朝日新聞を入手できる方は一読してほしいと思う。 さて今日のこのブログも郵便の労働現場の話題である。『季刊社会評論』No.193(2018年夏号)が完成した。 同誌の<状況2018 夏>という項に寄稿した文章を転写します。7000字を超す長さなので、今日と明日と二回に分けます。 ![]()
「働き方」関連法案をめぐって
議案は五月八日付で出された。執筆されたのはおそらく四月中。「働き方」関連法案が閣議決定され国会に上程されたのは四月六日である。この時点で、成立するかしないか同法案の帰趨は国会会期(六月二〇日まで)ギリギリにもつれこむだろうことは予想された。議案執筆者も同法案をめぐる国会内外の動きを横目に、データ捏造が発覚して法案から裁量労働制拡大が削除されたことも踏まえて筆を進めている。 ところが、驚いたことに「働き方」関連法案をJP労組がどう評価するかについて明確なことは議案には一切書かれていないのだ。最大の猛毒、高度プロフェッショナル制についてはその語自体が登場しない。その上で法案が成立することを前提として議案は書かれている。「・・ここ二年の春闘で“働き方改革”に対応していく考えであり、関連する法整備までの時限を見通す中で・・・」([Ⅰ 提案にあたって])。 それでいいのであろうか。裁量労働制拡大は削除されても、それ以上に危険な高度プロフェッショナル制新設は法案に残ったままだ。JP労組もその構成団体の一つである連合においてすら、昨夏の「迷走」(いったんは高プロを容認しかけた)はあったにせよ、しかしそれを経て改めて、高度プロフェッショナル制には反対することを組織として確認している。 高度プロフェッショナル制が新設され、いっぽう郵政においては「労働力構成のあるべき姿」に沿って正規雇用のうち地域基幹職が絞り込まれていくならば、絞り込まれることによって「少数精鋭化」していく地域基幹職に高プロ適用、すなわち労働時間や深夜労働への規制いっさいが解除される危険は現実のものとなる。「新人事・給与制度」を提案してくる中で二〇一三年に会社が提示した「労働力構成のあるべき姿」では、郵便事業部門(郵便・物流関係。局窓口・貯金・保険は別)においてはこうなっていた。
○地域基幹職(従来の正社員) 50.000人 ○新一般職(新たに作られる正社員) 44.000人 ○非正規雇用(月給制・時給制とも) 65.500人
この時点で郵便事業部門では現実の正規雇用は約一〇万人いた(非正規は一五万人近く)。まだ地域基幹職・一般職に分割されていない。それが「あるべき姿」ではほぼ二分される。それまでの正規雇用一〇万人は地域基幹職五万人へと半減させる方向が出された。半減すなわち絞り込まれるというのは、その位置に残るためには「精鋭化」せざるをえないということである。 イメージされるのは、亀井静香郵政担当大臣の時代に正規登用された人たちのことだ。二〇一〇年と一一年で合わせて全国で九四九六人が登用された。当時は一般職はまだなかったから従来の正規職として登用されたのである。現在四〇代になっている人が多いだろう。職場で中核的位置にいると思う。課長(かつての課長代理)クラスになっている人もいる。 この人たちはじつによく働く。深夜勤で夜中に一時間の休憩がある。この勤務に従事している者にとっては命綱みたいな一時間だが、忙しいときはこの一時間に食い込んで働く。「こんなことしていたら身体がもたない」と、当人たちも言っている。それでも、そこまで働かざるをえない(当人はそう思っている)。なぜか。 かれらが登用された後、正規登用はパッタリ止んで、そうして一般職が導入され(二〇一四年)、それからは正規登用はまず一般職ということになった。一般職には転居をともなう配転はないが役職への登用もない。二〇一〇・一一年登用組は地域基幹職だから、一般職とは賃金が違う。毎年の定期昇給の上がり幅が全然ちがう(一般職は一二〇〇円で、地域基幹職の約三分の一)。それだけの格差が「不合理ではない」と立証できるだけの仕事をせざるをえないということになった。これは過労死へと誘う格差ではなかろうか。この状況は相対的高収入と引き換えに労働時間規制の一切を取っ払われ過労死へと誘導される高度プロフェッショナル制と実に親和的だ。 「不合理ではない」と立証できる格差ならあっていいとする「同一労働同一賃金」政府ガイドライン案と高プロが組み合わさると恐ろしいことになることをこれは暗示していないだろうか。本当は「収入がいい」労働者にこそ「高収入だからって、そんな無茶な働き方をしてはだめだよ」という規制が必要なのだ。 しかも高度プロフェッショナル制は年収要件がいちおう一〇七五万円以上ということになっているが、これは将来下げられていくだろうことは目に見えている。財界人・御用学者らのこれまでの言動でもそれは明らかだ。年収四〇〇万円以上ならOKにしろという声も出ているのである。 高度プロフェッショナルは一部のエリートやホワイトカラーだけの問題ではない。深夜労働の規制が取っ払われることを見ても、郵便の労働現場においてもっと警戒されなければならない。この時期に開催されるJP労組全国大会が、せめて連合の基本的立場程度にでも声を上げることがなぜできないのであろうか。
JP労組にとって「集団的労使関係」とは
つぎに「同一労働同一賃金」という言葉をJP労組はどう理解しているのか。議案を読む限りでは、JP労組として格差是正に主体的に向き合うのではなく、郵政ユニオンが取り組む労働契約法二〇条裁判の影響や政府の「同一労働同一賃金」ガイドライン案に怯え、アタフタしているだけなのだ。
「働き方関連法案により『不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争える根拠となる法律』が整備されるまでの間に、集団的労使関係に基づく労使自治により、客観的に合理性のある姿を創造する必要がある」 「・・すでに起きている労契法二〇条に係る訴訟の状況も見定める中での、将来の訴訟リスクへの備え」 「・・今回のJP労組の交渉結果が訴訟の対象になるリスクは排除しておきたい・・」 (いずれも議案四ページ)
「集団的労使関係に基づく労使自治」とは字面は立派。しかしJP労組がこの語を用いる場合は、その本来の意味(労使の対抗関係)とは異なって、会社にすり寄って労使一体化すること以外ではない。正規雇用の九〇%前後を組織するJP労組だが、非正規雇用の組織率は三三%。議案では非正規の組合員を六万四九二六人と公表している。正規雇用における組合員数は一七万一八一七人である。 正規・非正規の格差問題に「集団的労使関係」の語を持ち出すなら、一方の当事者である非正規雇用労働者がどう関わるかが一番大事なことなのに、JP労組本部の意識においても(なぜ非正規の組合員にわざわざパートナーなるカタカナを被せ続けるのか!)、また組織構成の実態に照らしても、「労使自治」から非正規雇用労働者は除外されている。「訴訟の対象になるリスクは排除しておきたい」ことの結果が、二〇条を活用した非正規雇用労働者の待遇改善の足がかりを奪うために正規全体から年末手当、一般職から住居手当を失くすこと等を決めた今春闘の妥結であった。 妥結内容のうちJP労組が【同一労働同一賃金の実現】と括った項だけ抜き出すと、 ・一般職の住居手当廃止 ・正規雇用だけにある寒冷地手当を五〇%圧縮、遠隔地手当も見直し(縮小) ・正規雇用だけにあった年末年始手当のうち年末手当(一二月二九日~三一日に出勤すると一日四〇〇〇円)を廃止し、年始手当は非正規にも新設(一月一日~三日に出勤すると正規五〇〇〇円のところ非正規にはその八割の四〇〇〇円支給) ・アソシエイト社員(無期雇用に転換した非正規労働者)に有給の夏期・冬期休暇を一日ずつ付与 ・非正規雇用の病休(無給)を最長雇用契約の末日まで確保 ・正規雇用の新規採用時の年休発給日数を現行の二〇日から一五日に縮小 となっている。
住居手当は最大で月二万七〇〇〇円だから、これまで満額支給されていたとすると年間で三二万四〇〇〇円が消える。この手当は借家住まいが対象なので一般職では二万人のうち約五〇〇〇人に支給されてきた。 非正規に年始手当を新設したのはいいが、これは放っておいても「正規にある手当が非正規にないのは不合理」という判決が出るのが見えていたからである。だから、そうなる前に、正規だけにあった年末手当は放り出した。正規の手当を前もって削ることに同意することで非正規にそれが拡がるのを阻止しに出たのだ。 一番の問題は、JP労組は労契法二〇条も武器として非正規労働者とともに闘うのではなく、会社の同伴者として、二〇条の力を殺ぐことにばかり腐心していることである。非正規雇用労働者の待遇改善要求は、彼らにとっては、会社と正規雇用労働者からなる自分たちの共同体に外部から脅威を加えるものとしか映らないのである。働く者同士の連帯より自企業が大事という、企業別労組の行き着くところまで行った醜態がここに露呈している。 ![]() https://suyiryutei.exblog.jp/28354022/
by suiryutei
| 2018-10-06 08:51
| ニュース・評論
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