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新人事制度 大阪での報告①~③
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銀座にある板前割烹[いまむら]が今年いっぱいで店を閉じるという。それを知らせる葉書を数日前に店主から頂いた。もう何年も行っていないのに、忘れずにいてくださったことをありがたいと思う。 去年放送されたNHKの朝ドラ『ひよっこ』に、[鈴ふり亭]という赤坂の洋食屋が登場していたのを覚えているだろうか。 有村架純が演じたヒロイン、谷田部みね子は奥茨城の農村から集団就職で東京の町工場に就職した貧しい娘(ドラマの時代は1960年代)だが、一流レストランである[鈴ふり亭]を知っている。というのは、都心の建築現場にほぼ通年で出稼ぎしていた父親が一度だけ入った[鈴ふり亭]で親切な扱いを受けたことがあるのだ。 そのあと色々あったのだけれど、それは略す。 ともかく、みね子は上京してからは、月に一度の給料日が来ると[鈴ふり亭]を訪ねて、メニューに載っている料理の一番安いところから始めて、料理をひとつずつ食べていく。最後は一番高いビーフシチューに到達するのが彼女の夢である。店の人たち(女将は宮本信子、その息子であるシェフは佐々木蔵ノ介が扮していた)は、そんな彼女をあたたかく見守っている。 酔流亭はそれを視て、ああ、こういうのが食べもの屋と若い客との理想的な関係だなと思った。店が客を自然に育ててくれるのだ。そうして[いまむら]の先代、今村英雄さんと初めて出会った頃のことを思い出した。 それは、もう30数年前のことだ。 今村英雄さんが亡くなって、ちょうど10年たつ。長男である現店主は、10年間よくがんばってきたと思う。酔流亭がもう何年も足を運ばなくなったのは、何よりもこちらの生活の組み立てが変わってきたからだ。人生の残された時間に何ができるかと考えると、銀座はちょっと遠い世界になった。 [いまむら]のことは、このブログに過去何度か書いている。女将さんに親切にしていただいたことも忘れない。先代が亡くなる半年前に書いた記事を下に貼り付けておく。 ★『銀座[いまむら]の船場汁』(2007年11月25日更新記事) https://suyiryutei.exblog.jp/7747530/ 銀座にある板前割烹[いまむら]に、久しぶりに行くことができた。 銀座だ割烹だといえば、なにやら敷居が高いけれど、[いまむら]は気どった店ではない。小さなビルの地階にある、小さな店である。席はカウンターの前に腰掛が10ばかりあるだけ。しかし出すものはどれも飛び切り美味い。 暖簾をくぐったのは夜8時過ぎ。板場の中に、ご店主の今村英雄さんがいる。うれしくなった。 今村さんは去年の春、すこし体調を崩された。しかし、ご子息の英太郎さんがこの一年のあいだにめっきり頼もしくなった。酔流亭が英雄さんとお会いするのは今年の春以来。そのときはアイナメが美味かった。お椀や揚げ物でいただいた。TV朝日の『食彩の王国』という番組がアイナメを特集するので店に取材に来たばかりのときだった。池波正太郎の時代小説にはこの魚が時々登場して、煮付けだ刺身だと長谷川平蔵や藤枝梅安が舌鼓を打つ。そして生前の池波正太郎にいちばん可愛がられた料理人が今村さんなのである。 季節は移って、今は冬への入り口だ。出てきた吸い物の蓋をとると、薄く切った大根の下に鯖の切り身。澄まし汁から湯気がたちのぼる。船場汁だ。 もう20年以上前、今村さんと出会ったばかりの頃に、この船場汁を初めて口にした。鯖がこんなに旨い魚だとは、それまで知らなかった。一椀の吸い物にこれほどの味わいがあることも。 ちょっと店の外に出て戻ってきた今村さんが言うに、「外は木枯らしが吹いていますよ」。 中学時代、柔道で鍛えた今村さんの身体は、60を過ぎ、病を乗り越えた今もたくましい。奥様とご子息と三人で、これからもこの味を守っていくのだろう。
by suiryutei
| 2018-10-14 11:08
| 酒・蕎麦・食関係
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