新人事制度 大阪での報告①~③
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新聞『思想運動』12月1日付も先週金曜日(11月30日)に完成し、発送されました。その一面に、今回の入管法「改正」の問題点について全統一労組の佐々木史朗書記長へのインタビューが掲載されています。 きわめて重要な問題であるのに加えて、その記事化に酔流亭もいささか関わった(テープ起こしに従事)ので、記事全文を転写します。 今回の入管法「改正」案の特徴と問題点は? 技能実習制度の現状を放置したまま受け入れを拡大していいのか。実習制度と同じ構造がそのまま引き継がれる。中間搾取・ブローカーの介在・労働基準法違反の多発・強制帰国などの人権侵害が避けられない。新設される「特定技能一号」に一四業種で三四万人と試算されているが、五年という長期間、家族の帯同を認めない。しかも技能実習制度と接続させる計画で、三年ないし五年の技能実習終了の後さらに五年、最長一〇年間、家族の帯同を認めないことになる。深刻な人権侵害だ。また国や地方自治体など行政が果たすべき役割を、民間の登録支援機関などに丸投げしている。出入国在留管理庁を設置して「司令塔」の役割をさせるのも問題だ。入管はそもそも入国・在留資格の管理が職務分野であり、外国人労働者を適切に保護する機能は持っていない。必要とされているのは移民省のような総括的な行政機関だ。安倍政権は外国人労働者を「外国人材」と言い換えている。もっぱら労働力だけに焦点を当てて、生活する人間として見ていない。 全統一労組の取り組みから見える技能実習制度の実態と問題点は? 全統一には、残業代の未払い、労災隠し、暴力、パワハラ・セクハラ、居住環境の劣悪さ、強制帰国による脅迫など、深刻な相談が寄せられている。耐えかねて失踪してきた実習生もいる。国会で問題になったアンケートは、失踪の原因を「高い賃金を求めて」と偽造した。アンケートには残業代未払という項目が無い。労働時間の項目はあっても休日・休暇についての項目が無い。送り出し機関にいくら払ったかという項目はあっても来日してから管理団体に不正な行為はなかったかという項目もない。入管が行なった失踪者の原因調査であり、もともと適切な選択肢で構成されていない。しかし避難しなければならないような深刻な実態の一端がはからずも明らかになってもいる。厚労省が行なった別の調査では、実習機関のうち約六〇〇〇の事業所を調査した結果、約七〇%、四二〇〇か所で法違反が見つかった。これが制度の実態だ。しかも法違反、不正行為によって不利益を被った実習生に対する補償の仕組みがない。行政処分があったとしても、それだけでは本人の不利益は回復されない。妊娠を理由に、帰国するか中絶かと迫られたベトナム人実習生から相談を受けたことがある。技能実習手帳にも技能実習制度運営要綱にも妊娠出産について項目が無い。制度はそうした事態を想定していないのだ。制度そのものが中絶を強要している。 「技能実習生の受け入れ、需給調整は、管理団体をなくしてハローワークのような公的機関が対応すべき」という意見があるが。 技能実習法は、制度を労働力の需給調整に利用してはならないと明記している。ただ、実態として雇用関係が生まれているのは事実であり、公的機関が関与することで管理団体の不当な介在を制限することが必要だ。韓国では実際にそうしている。人手不足がはっきり証明された場合のみ、公的機関が業種・企業ごとに外国人労働者の配置を認めている。日本でもできないはずがない。 「改正」入管法法によって、なにが起こるのか? 新制度での登録支援機関は認可制ではない。社労士、行政書士、商工会などが簡単に登録できてしまう。技能実習制度における管理団体も横すべりできる。支援機関には外国人労働者の保護に関する規定がなく、送り出し機関・受け入れ団体による中間搾取が相変わらず、しかも公然と行われるだろう。 新設される「特定技能」は技能実習制度とは別の枠組みだと説明されているが、ごまかしだ。技能実習制度は国際貢献・技能移転との理念を偽装し、実際には単純労働力の受け入れとして機能してきた。しかし技能実習制度では、理念どおりやれと運動の側が突きつけるという方法はあった。新制度では剥き出しの搾取構造に外国人労働者を放り込むことになる。さらに、技能実習制度は基本的に直接雇用だが、新制度は間接雇用を認めているから、派遣労働が一般化する可能性があり、大手人材ビジネスも参入するだろう。転職の自由があるというが、外国人労働者が一人でハローワークで転職活動ができるのか。雇用契約を締結する条件に乏しい人たちを、どうぞ自由ですと放り出していいのか。労働者保護の視点が欠落していることが決定的な問題だ。 「人手不足の業種は、日本人労働者の賃金や労働条件を改善して人手不足を解消すべき」「国内の雇用に影響を及ぼすから入管法『改正』に反対」という主張が労働運動の側にもあるが、どう考えるべきか。 労働者が集まらない職場、底辺職場の労働条件改善は、外国人労働者がいるかいないかにかかわりなく、取り組まれなければならない。しかし外国人労働者が増えた結果、日本人の雇用を奪ったという事実は存在しない。たとえ労働条件がある程度が改善されたとしても、労働力不足は構造的な問題であり、ただちには解消されないだろう。ドイツでは外国人労働者の比率が一〇%を超えている。日本では二%。雇用に影響を及ぼすような現実はない。雇用問題は社会が解決する課題だ。雇用が失われたときの保障が、日本は先進国の中で最低だ。非正規雇用や派遣労働の拡大を許してきて、それが労働環境全般を悪化させてきたことを日本の労働運動は反省しなければならない。日本社会は外国人労働者によって助けられてきたのであって、外国人排斥につなげるような議論はきわめて危険だ。 われわれ労働者階級として本来あるべき態度とは? 移民政策かどうか、などという議論にひきずられてはならない。移民はすでにいる。それが現実だ。外国人労働者は過去五年間で倍増して一二七万人を超えている。そのうちの四〇%以上は技能実習生(約二七万四〇〇〇人)と留学生(約二五万九〇〇〇人)。ほんらい労働者ではない人を労働者として働かせている。国際的な常識では、技能実習生も留学生も移民に決まっている。 外国人・移住者の生活保障も含めた全般的・総合的な受け入れ制度を作らなければならない。労働組合も社会を構成する一員として、多文化多民族共生社会の実現を職場において取り組む必要がある。日本の近代史を見ても、戦前の徴用工も含め、外国人労働者はつねにいた。しかし、日本の労働組合は一部を除いてかれら彼女らを労働者階級の一員として、共に生活し共に闘う仲間と見てこなかった。外国人労働者を積極的に組織する方向・戦略も欠いてきた。アメリカの労働運動と比べれば雲泥の差。アメリカではサービス労働者などはもっぱら移民労働者が組織して社会的な影響力を発揮している。国際的な移住労働者の闘いの経験に学ぶことも重要だ。 //////////////////////////////////////////////////////// 記事は以上ですが、この記事が掲載されている『思想運動』紙一面の上段は11月24日に新宿で行われた辺野古基地建設反対デモの写真になっているので、それも貼り付けます。じつはデモ隊の中に酔流亭も写っている。 なお佐々木書記長のインタビュー記事に、妊娠を理由に中絶か帰国かを迫られたベトナム人技能実習生のケースが紹介されていますが、これは昨日の朝日新聞朝刊一面でも報道されました。朝日記事には全統一労組の名も出ています。
by suiryutei
| 2018-12-03 08:36
| ニュース・評論
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Comments(2)
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隅田のカッパ
at 2018-12-03 13:51
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この入管法改悪―外国人労働者の奴隷労働の拡大、国会における強引な手法、沖縄・辺野古の選挙結果もかなぐり捨てる一連の暴力的姿勢など、いまや自公の極右政権というよりも、自公の独裁・ファッショ化が鮮明になりつつあるように思います。特にこんかいは、公明党・創価学会の責任が重大であり、私の周りの創価学会員はまじめでいい人ですけど実際には独裁政権を支える市民であり、許すことができません。
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suiryutei at 2018-12-04 08:43
墨田のカッパさん、おはようございます。コメントありがとうございました。自公政権のこの異常さが当たり前のように遠っ散ることに憤りを感じます。韓国・朝鮮への露骨な侮蔑もひどいものです。
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