新人事制度 大阪での報告①~③
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西日本郵政労働契約法20条裁判の二審判決(1月24日、大阪高裁)のうち、昨日は住居手当のところを読んでみた。 二審判決が一審に続いて、正規雇用にある住居手当が非正規雇用に無いのは不合理な格差だとしたことはよいが、それは正規雇用のうち一般職にも住居手当があることを前提としたものである。去年の春闘において会社と多数労組であるJP労組の間で一般職から住居手当を奪っていくことが合意されてしまったから、この判決の考えでいけば非正規の住居手当もこの先は認められなくなってしまう。会社としては裁判で正面から争うより、JP労組を抱き込むことで住居手当が非正規雇用にも拡がることを阻止しに出たのである。のみならず、正規雇用の中でこれから一般職は徐々に増えていくのだから、一般職から住居手当を奪う方向を出したことによって正規雇用への住居手当支給もこのさき大きく削減していくことができる。 しかし、続く「扶養手当」のところはもっと問題だ。非正規に扶養手当が無いのは、一審では「不合理な格差」とされたのが二審では「不合理とはいえない」にひっくり返ってしまった。 判決文はこう述べる。 ところで、扶養手当は、いわゆる家族手当に該当するところ、家族手当は、一 般的に生活手当の一種とされており、長期雇用システム(いわゆる終身雇用制) と年功的賃金体系の下、家族構成や生活状況が変化し、それによって生活費の負 担が増減することを前提として、会社が労働者のみならずその家族の生活費ま で負担することで、有為な人材の獲得、定着を図り、長期にわたって会社に貢献 してもらうという効果を期待して支給されるものと考えられる。 しかし、「家族構成や生活状況が変化し、それによって生活費の負 担が増減する」のは、労働者なら誰だってそうなのであって、「長期雇用システム(いわゆる終身雇用制) と年功的賃金体系の下」にある労働者に限ったことではないのである。判決も「本件契約社員(非正規雇用労働者のこと、引用者)についても家族構成や生活状況の変化によって生活費増も あり得るが」と述べるけれども、それは「基本的には転職等による収入増加で対応することが想定されてい る」と言い放つ。 扶養手当が付いているような仕事に転職すればいいということであろうか。だが、判決の考えでいけば、それは正規雇用に限られるのである。正規・非正規の格差が今日なぜ大きな問題になっているかがわかっていないのだ。 正規雇用が絞り込まれ、かつてなら正規雇用されるのが普通だった人たちも正規では採用されなくなった。かつて学生アルバイトのようにそれで主たる生計を立てるのではなく家計補助的でよかったからそうであった低賃金の下に、それで子どもを養い育てていかなくてはいけない人たちも押し込まれてしまったのである。 それをなんとかしなくては、というのが、労働契約法20条の立法趣旨であったろう。本来なら基本賃金そのものの大幅引き上げがなされなければならないのだが、すぐそうならないとしても、基本賃金における格差を補うためにも、せめて扶養手当は非正規雇用労働者にこそ充実したものにされなくてはならない。
by suiryutei
| 2019-02-07 10:13
| ニュース・評論
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