新人事制度 大阪での報告①~③
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大阪の郵便局で男性労働者が上司からパワハラを受け自殺した事件については、それを伝える『伝送便』5月号記事の概要だけはこのブログでも紹介しました(4月30日更新記事)。 その記事全文を転載することについて『伝送便』編集委員会で提起し了解されたので、下に貼り付けます。 ![]() 三月五日に大阪西郵便局内において極めて重大な事件が起きた。就業時間中に局舎内で一般職の男性職員Hくん(二十九歳)が自らの命を絶ったのだ。この事件に対し日本郵便は未だに沈黙を守っている(四月十八日原稿執筆現在)。毎日のように緊急特報は流れるが、職員が仕事中に自殺をすることはたばこクレームより重要ではないと言うことだろう。なぜHくんが自ら死を選ばねばならなかったのか、彼を取り巻く環境と、事件当日に何があったのか、郵便局で働く仲間のために事件の詳細をこの『伝送便』で全国に発信したい。なるべく事件のディティールを理解していただきたいので不要と思われるような事柄も敢えて記載するのでご容赦ねがいたい。 Hくんは一般職の外務職員となり四月に入社四年目をむかえるはずだった。彼の仕事ぶりは残念ながら結して良好ではなく、超勤時間も他の職員に比べ多かった。仕事の早さだけではなく失敗もよくしていた。書留を対面誤配したりポストの上にブツを仮置きして忘れてしまったり、誉められることより怒られることの方が多かっただろう。そんな彼に対し、配属当初は班のメンバーも厳しく接していた時期があった。仕事が遅く、失敗をする新人に対し粘り強く指導をしていたのだが半年ほど経ったある日、自信をなくしたHくんは失踪してしまったのだ。 班員は配慮していた ここまで書くとHくんを追い詰めたのが班のメンバーであるかのように誤解されてしまうかもしれないが、班のメンバーはこの失踪事件をきっかけに彼に対し厳しく接することはなくなった。ことばでは言い表しにくいのだが、班としてはこの失踪事件で彼の精神的な弱さを見て、どちらかというと同情的なというか、寛容な対応に変化していったように思う。そのためHくんは失踪事件以降、今年の三月に死を選ぶまでは班内においては比較的のびのびと過ごせていたという印象がある。私は彼の班ではないのだが、彼が失敗をしたという話を聞く度に「もう少し厳しく言ってやった方が彼のためになるのではないか」と思ったりもしたが、班員は指導は指導としておこなったとしても、決して追い詰めてしまわないよう配慮し、その後のフォローも充分にしていたと言ってもいいだろう。Hくんは失踪事件のあとでも班の飲み会や組合の寄り合いなどに積極的に参加していた。そうしてHくんは班で居場所を確立し、郵便局の仕事にも馴染んできた。 三人の管理者 しかし彼と彼の周囲のそういった繊細な機微を理解することができない愚かな管理者が大阪西局に配属されてから、彼はじわりじわりと追い詰められていったのだ。ヘマをしてしまったHくんが部長席で叱られているのを何人もの職員が目撃している。毎日、とまではいかなくとも時には週に数回怒られているHくんの姿はいつしか風景のようになっていった。現実に多くの職員が何度もそういった状態を目撃していながらそれが「いつ」とはっきり言える者はほとんどいないだろう。おそろしいことにそれが大阪西の日常だったのだ。 統括局である大阪西の集配は第一、第二の二部編成で十の班がある。集配のある二階フロアには管理者としてH一集部長、K二集部長、M総括課長の三人が居るのだが、実はこのうちK二集部長とM総括の二人は過去にパワハラ事件を起こしている。パワハラの当事者が簡単に管理職になることができるこの会社に果たして明るい未来はあるのだろうか? 兎に角、この三人が揃ってから大阪西はだんだんおかしな雰囲気になってきた。目に見えて交通事故や労災が増えたのだ。毎月のように事故が起き、先日はなんとモニタリング中にあわや死亡事故といった重大事故も起きてしまった。事故を起こした女性の基幹職員は両足を骨折し、今現在も複数回の手術を行い入院中である。この事故は片側三車線の道路を左側から一気にUターンをしようとして起きた事故だ。当局は「本来考えられないような事故」という表現を使っているのだが、なぜ本来考えられないような行動を彼女が取ったのか、その理由こそ大阪西で三人の管理者によって行われているパワハラと時短ハラスメントだ。 労基法や労務関係の常識を全く理解していない、ふだんから平気で「理由のない年休は認めない」などと言ってのける管理者が具体的な作業指示を出せるわけもなく、ただただ「なんでこの物数でこんなに時間がかかるのか?早く帰れ」としか言わないのだ。時に大声で恫喝し、理論的に話すこともできない者が権力を握っていれば、職員は「自分も怒られるかもしれない」「目をつけられないようにしなければならない」という発想になる。そういう「本来考えられないような状況」が職場にあるからこその「本来考えられないような事故」だったのだ。 追い詰められて 話をHくんに戻す。Hくんはふだんからよく怒られていたわけだが、H一集部長やK二集部長は大声を出して怒るタイプ、M総括課長はネチネチと追い詰めるタイプだ。ヘマをした際には彼ら三人がかりで怒られ、班に戻ってもM総括が後ろからついてきて「お前はいったい何ができるんや?どんだけ周りに迷惑をかけてるかわかってんのか?」と何度もしつこく繰り返していた。 仕事が遅いHくんに「お前は遅いんやからとっとと(道順を)作ってもらったものだけ行ってこい」とプライドを砕くような言葉を平然と投げつけていた。また数時間に渡って三人がかりでHくんを怒っていたという情報や、人前で恫喝していたという情報もある。組合から注意をされた後は別室に連れて行って怒っていたとか、Hくんに「次にミスをすると進退を考える」という内容の書面を書くことを強要したという。 そうしたパワハラをHくんが受けている中、前述の重大事故があり、大阪西局ではふだんミーティングに参加しない局長が「焦らないでほしい」といった旨のことを皆に告げた。しかしその後でマイクを握ったH一集部長はあいかわらず「今日の通常は○○万なのでみんなで早く帰ってきてください」と具体性のない指示を出し、K二集部長もあいかわらず朝の忙しい時間でも緊急性のないくだらない用事で職員を足止めする、重大事故が起きても上っ面の言葉だけで安全配慮を示した状態だった。 そして数日が経過し、三月五日にHくんは交通事故を起こしてしまったのだ。前方を走行している車両に追突してしまい、ウインカーを破損したそうだ。双方にケガはなく、物損事故だった。(後日分かったことだが驚くことにこの事故自体は緊急特報が流れていたそうだ。物損事故を起こした本人が自殺しているのに自殺にはなにも触れず物損事故の緊急特報を発信する、異常としか言いようがない)。 そしてその数時間後にHくんは首を吊っている。あくまで噂だがタスキで首を吊ったのではないかと言われている。当局は『紐状の物』で首を吊ったと言っている。しかしその紐状のものが何だったのか聞いても回答はない。簡単に答えられるはずなのに答えない、これはタスキ着用反対の動きが起きることを恐れて明言しないということではないかと私は疑っている。 事故のあった日には管理者は三人とも出勤していた。事故の起きた時間帯はほとんどの職員が配達に出ていたが、事故の報告を聞いて怒鳴っている管理者の声を聞いたという人が居る。今までに何度も怒られてきたHくんが、その日は涙を流して取り乱していた姿を見た人が居る。Hくんはたかだかウインカーが壊れた程度の事故で死を選ばねばならなかったのだ。そこまで追い詰められていたのだ。 パワハラで栄転 最後にHくんではなくM総括の話を書かせてもらう。 彼は元々大阪西局に採用され、全逓時代に青年部や支部の役員もしていた。大阪西から転勤したのち数年を経て管理者として再び大阪西局に配属されたわけだが、前々局(?何局前かは不明)で班長時代、業務終了後に局外の飲食店で飲酒しており、そのタイミングで班員が何かヘマをしてしまったそうだ。当時の彼の上司から飲酒中に連絡があり、局に呼び戻されたことに腹を立て、その班員に土下座を強要し、さらには暴行も加えたという。被害に遭った班員の親が局に抗議に訪れて当局に事件が発覚したのだが、本来傷害事件であるはずの事件はなぜかうやむやになっている。 そのM総括は大阪西に再度転勤してきて、「俺は自分がやったパワハラ(本来は傷害)を会社が認めてくれてると思ってる。なんでや言うたら最終的には大阪西に栄転させとるからな。だから俺はパワハラしてもええて会社に言われとるんや」と言っていた。この発言は一度のみならず繰り返しており、複数人が聞いている。 私は大阪西の社員としてHくんを自殺に追いやったのは自分たちの無関心もあったと心から悔やんでいる。あの時声をかけていれば、あの時もう少しやさしくしてやっていれば…それはおそらく大阪西の者なら誰もが思うことだろう。皆が後悔の念にさいなまれている。直接彼を追い詰めていった者には果たしてこの気持ちがわかるだろうか。人間の気持ちがわかるのだろうか。 (大阪西の職員) 以上が記事の全文です。『伝送便』誌5月号に掲載されました。 『伝送便』編集委員会 mail; densobin@usay-net.com (現在、事務所に常駐者がいないので、連絡はFaxかメールでしていただければ) ![]()
by suiryutei
| 2019-05-14 08:38
| ニュース・評論
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