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昨夜遅く、都心では霙(みぞれ)が降ったという。東京における今年の初雪が観測されたと今朝のTVニュースは報じた(霙も雪に分類されるんですね)。 東京よりもちょっと北に位置する我が家のあたりも、今朝、表に出ると地面が濡れているから何か降ったようだ。雪か霙か、それとも雨止まりかは夜のあいだ外に出なかったのでわからないが。 外には出なかったけれども、夜中に目が覚めてしまった。午前3時過ぎである。しばらく寝床でじっとしていたが、眠りに戻れそうにない。思い切って寝床から出て、部屋の灯りと暖房を点け、まだ朝刊は届いていないから本棚から新書を一冊取り出した。羽仁五郎著『ミケルアンジェロ』。奥付に岩波書店から1939年第一刷、1978年第38刷発行とある。戦中戦後を通じて読まれてきたんだね。酔流亭が入手したのは10年くらい前、池袋駅前の広場で開催されていた古本市においてだ。150円という値札が付いたまま、読まずに積ん読になっていた。それを今年2020年最初の読書にしようと、年明けから読み始めて、きのう一応読了。しかし前半のミケランジェロが生きた時代のイタリア社会についての叙述はもう一度読み直しておく必要ありと感じた。それで、その前半を読む。 全体で280ページ弱のうち初めの三分の一くらいが当時のイタリアの社会経済構造、そして羽仁の独擅場であるところの人民の闘いの叙述にあてられている。しかもルネサンスはイタリアだけで起きたのではなく当時のヨーロッパ全体のうねりであるのだから、それにも目配りが欠けていない。アルプス山脈によって北と南に隔てられていても、ドイツ農民戦争の指導者トマス・ミュンツァー(1489年ー1525年)がミケランジェロ(1475年ー1564年)と同時代の人であったことを改めて思う(ミケランジェロより後に生まれたミュンツアーがずっと早く死んでいるのは、蜂起に敗れて虐殺されたから)。 封建領主の下で過酷な搾取に呻吟しつつも、農奴状態から、初めは逃散、やがて武器を手に一揆を繰り返しつつ自営農民へと人民は歩を進めていくのである。そうした闘いが近代の扉を押し開き、その上にルネサンスの花が咲く。ちょうど同じ時代、日本では一向一揆というやはり農民闘争が封建権力を相手に死力を尽くして闘われていたことも思い合わせたい。 残りの三分の二は、ミケランジェロその人の生涯および作品についていよいよ語られていく。 ただ、記録に基づいて叙述されるミケランジェロの行跡と、封建権力に対する抵抗精神を体現していたとする羽仁のミケランジェロ評価との間に、いくらかの齟齬を感じないこともない。羽仁は史実に厳密であるよりも、自身の戦時中の抵抗を仮託する存在として<羽仁のミケランジェロ>を造形したようにも思われる。 それはともあれ、酔流亭がこの本を入手したのは池袋駅前の広場であったと先に述べた。広場というのが、<都市の論理>の羽仁五郎にふさわしくありませんか。酔流亭は行ったことないけれどヨーロッパの都市は中心に広場があって市民はそこで議論を交わすという。 この本の表紙を開くと、前の所有者の蔵書印が押されていた。右は「本田」、左の下の字は「春」と読める。左の上の字が判読できないのだが、もしかしたらジャーナリストの本田靖春であろうか。いまネットで調べてみたら本田靖春氏は2004年に亡くなっている。酔流亭が古本市でこの本を入手したのは2010年ごろだ。 もっとも、そうだとして、そんなことは「だから何なんだ」という話である。本の価値は、そこに盛られている内容が全て。そして『ミケルアンジェロ』は一年の最初の読書にふさわしい一冊であったと思う。
by suiryutei
| 2020-01-05 09:51
| 文学・書評
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Comments(4)
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隅田のカッパ
at 2020-01-07 20:56
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こんばんは。私はクロカンの署名本を持ってます。『ヘーゲルとマルクス』。もちろん古書店からで、直接入手ではないですよ。その署名といっしょに「××先生へ」とあります。高校の時の先生へはじめての著作を献本したのでしょう。でもその先生は古書店に売り飛ばしてしまいました、というわけで、哀れを感じました。
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suiryutei at 2020-01-08 08:17
墨田のカッパさん、おはようございます。
津田道夫氏が書いた全く同題(『ヘーゲルとマルクス』)の本を持っています。それも古本屋で買ったもの。読まずに積ん読のままですが。そういえば津田氏の別の本で、ハンガリア事件についてのクロカンさんの反応を批判した箇所があって、印象に残っているのですが、その本は誰かにやってしまったらしく、いま手元にありません。ところで、そのクロカンの本の読後感はいかがでしたか?
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隅田のカッパ
at 2020-01-09 13:53
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こんにちは。いちおう読みましたが、読んで後悔しました。なかみの記憶がまったくないです。
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suiryutei at 2020-01-10 08:21
墨田のカッパさん、おはようございます。
なんとなく想像がつくような・・・。
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