新人事制度 大阪での報告①~③
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平日の夕方4時台に再放送されていた『ひよっこ』(NHKの2017年度前半放送の朝ドラ)が先週完結した。この時間枠だと普段の年なら甲子園や大相撲の実況があると中断してしまうのだが、今年はコロナ禍で春の選抜も大相撲の五月場所も中止になったから、再放送はすいすいと進んだ。もうしばらく、あの世界に浸っていたかったという思いがするのであるけれど。 ヒロインみね子が東京に出てきて最初に就職したトランジスタラジオ製造工場の女子寮の寮母(演・和久井映見)がときおり口ずさむのが倍賞千恵子『下町の太陽』だったり、つぎの職場になった赤坂の洋食屋[すずふり亭]の名物ハヤシライスが銀座[煉瓦亭]のそれとそっくりだといった細部も含めて、酔流亭はこのドラマが好きだった。なお[煉瓦亭]へは東京中央郵便局で働いていた頃、泊まり勤務明けに時々出かけたものだ。ハヤシライスの他にもメンチカツなんか絶品だ。 そして細部といえば、三年前の放送では視落としていた、さりげない場面に、今回の再放送では気づいたことがいくつかあった。 たとえば、みね子の母(演・木村佳乃)が留守をした晩、母に代わってみね子が夕食のカレーライスを作るのだが、俎板の上で切っていたのは安価な魚肉のソーセージであったこと。のちに工場の寮の食堂で肉がたっぷり入ったカレーに新入の女工員たちが大喜びした理由がよくわかったのである。 あるいは、失踪した父親をみね子が捜すのに協力してくれる茨城出身の若い警官と、女子寮コーラス部の練習でタクトを振る若い男性工場労働者とが初めて顔を合わせたとき、労働者のほうは思わず腰を浮かせ、身を隠そうとしかかる。おそらく彼は街頭デモに参加したとき警官隊に蹴散らかされた経験があるのだ。だとすれば、ドラマのそのときは1965年だから、彼が参加したのは日韓基本条約反対デモであった確率はかなり高い。日本による非道な朝鮮植民地支配の責任を不問にして結ばれた日韓条約が「徴用工問題」などにも今日つながっているのである。もちろんドラマでそんなことが語られるのではないが、視るほうはそういうことも考えていいのではないか。なお、あの警官はいい奴であって、二人はやがて親友になる。 こんなことを書いていったらきりがない。午後4時20分からのあの時間枠で、今日からは『純情きらり』の再放送が始まるという。宮崎あおい主演、2006年放送の作品である。 宮崎あおいは、最近では葛飾北斎の娘や、室生犀星原作『あにいもうと』のヒロインをどちらも単発ドラマで演じたのを視た。いい女優さんになったなあと感心する。有村架純はじめ、『ひよっこ』に出演していた若い女優たちも羽ばたいていってほしいものだ。
by suiryutei
| 2020-07-06 10:17
| ニュース・評論
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