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【A・Z通信】掲載文の転写を続けます・ ![]()
NHKBSの映画放映
先ほど(昨日の更新記事で)触れた映画『ダンス・ウィズ・ウルブス』はNHKBSプレミアムで平日の午後一時からの時間枠であった。この時間帯、邦画洋画とりまぜて、なかなかいい映画をやると知ったのはコロナ禍によって「巣篭もり」を余儀なくされた怪我の功名か。五月に放映された『緋牡丹博徒』のシリーズ第一作(一九六八年、山下耕作監督)では二〇代の藤純子の美しさに目を奪われた。しかし話の行きがかりから、ここでは五月と六月に視た二本の西部劇のことを語らせてほしい。 まず五月二二日放送の『ガンヒルの決闘』。コテコテの西部劇を思わせる題名のこの映画をふと視る気になったのは、主演がカーク・ダグラスだと知ったから。 四年前『トランボ』という映画を観た。『ローマの休日』(一九五三年)の脚本家ダルトン・トランボを描いた作品である。戦後マッカーシズムによる赤狩りでハリウッドを追われたトランボは仕事を干され続け、B級映画の脚本を偽名を使って濫作することで糊口をしのいでいる。『ローマの休日』も偽名で書いた。監督のウィリアム・ワイラーは承知だったろうけれど、あの名作はトランボが脚本を書いていたと世間が知るのはずっと後になってからだ。しかし、帝政ローマにおける奴隷反乱を描く大作『スパルタクス』(一九六〇年、スタンリー・キューブリック監督)の脚本を書く仕事がとうとうまわってくる。このとき立派だったのは同映画に主演したカーク・ダグラスである。もちろん『トランボ』では風貌がよく似た俳優が演じている。制作にも関わっていたダグラスは、「アカに書かせるな」という妨害に屈しない。このあたり、おそらく事実に忠実に再現しているのだろう。以来、顎に特徴のあるこの俳優が私は好きになった。 『ガンヒルの決闘』
さて『ガンヒルの決闘』だ。冒頭、九歳の息子と馬車に乗って荒野を行く女性が行きずりの二人の若者に暴行され殺される。女性の肌の色と髪型からして先住民の女性かと思っていたら、はたしてチェロキー族の女性である。そして彼女の夫がカーク・ダグラス扮する主人公なのだ。彼は連邦保安官である。愛する妻がレイプされ殺されたことへの激しい怒りを胸に秘めながら、しかし復讐ではなく犯人を逮捕するために、その若者二人がいる町ガンヒルに向かう。 若者二人のうち主人公の妻に直接手を下した男の父親が主人公の旧友であって、町を牛耳る実力者。それをアンソニ-・クインが演じている。この男は出来の悪い息子が親友の妻を殺してしまったことに苦しみながらも、息子を溺愛するからかばい続ける。 町の「堅気」の白人どもが「チェロキーの女を殺して何が悪い」「賞金出したっていいくらいだ」と、とんでもないセリフを何度もくり出す。犯人の若者にしても、甘やかされて育った世間知らずであっても、とくにワルというのではない。そんな普通の若造が、相手が先住民であればレイプして殺しても罪の意識が全く無い。白人が先住民を侵略・略奪・強姦していったのがアメリカ西部の歴史であったことが映像から滲み出てくる。そしてガンヒルに単身で乗り込んだ主人公の奮闘から、そんな歴史を肯いはしないぞという映画の作り手たちの思いも伝わってくるのである。チェロキー族は一八三八年、ジョージア州からオクラホマ州に作られた「インディアン居留地」に強制移動させられ、一万五〇〇〇人のうち四〇〇〇人が途中で命を落としたという。 『ガンヒルの決闘』は一九五九年の製作。監督のジョン・スタージェスは翌年、黒澤明『七人の侍』をリメイクして『荒野の七人』を撮った。これも後日(七月二四日)同じ時間枠で放映された。カーク・ダグラスは今年二月に一〇三歳で亡くなっている。 (つづく)
by suiryutei
| 2020-08-25 08:10
| 映画・TV
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