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NHKの朝ドラ『エール』は今週が最終週。朝ドラは例年なら9月いっぱいまでで10月からは新作に切り替わるはずが、今年はコロナ禍で収録が中断した時期があって中途半端なことになった。今朝の放送が実質的に最終回だ。明日はこれまでの出演者たちが顔を見せて歌う15分間になるようだ。 さて我が家では総合放送の午前8時からではなく、BSプレミアムで7時半からの放送を視ている。すると、BSプレミアムではその前の時間帯つまり7時15分~30分は古い朝ドラの再放送を流しているのである。9月までは斉藤由貴主演、1986年放送の『はね駒』だったし、こちらは再放送なのでコロナ禍は関係ないから10月からは『澪つくし』が始まった。沢口靖子主演、1985年の作品である。ついでに視ている。 ヒロインは銚子の醤油醸造元の娘だ。しかし母親(演・加賀まりこ)は正妻ではなく、蔵元(演・津川雅彦)のお妾さんである。正妻には長女がいて、ヒロインとは腹違いの姉ということになる。桜田淳子が演じている。東京の大学を出ているが、そこで左翼思想の洗礼を受けたらしい。もっとも左翼的なことを口にする割には、それならば連帯するべきプロレタリアートであるはずの自家で働く職人たちと打ち解けるかといったら、そうでもない。頭の中の理屈と日常生活が乖離したブルジョア娘というふうに、これまでの展開ではそう見えたが、今朝の放送を視ると、ちょっと違っていきそうな雰囲気になってきた。彼女の恋人であり左翼仲間でもある若者が検挙され、たまたまその場に居合わせたヒロインまで警察にひっぱられるという事件が今週の放送で勃発したのである。ヒロインは何も知らなくて、姉に言われて若者のところに金を届けに行ったところだった。 登場人物の会話に時折「野田の同業者のところで争議が起きている」ことが匂わされる。野田の同業者(醤油醸造)の争議といえば、野田争議が有名だ。1927年ごろのことで、『澪つくし』も大正天皇が亡くなって喪に服していたあたり(つまり昭和初年)からドラマが始まっているから、時代が合う。 野田争議は野田醤油(現在のキッコーマン)で起きた大争議である。この争議に取材した『ぼくたちの野田争議』という本を前に読んだことがある。なおヒロインの家はヒゲタ醤油がモデルだそうだ。いまウィキペディアで調べてみると、この両社は現実の世界では資本提携したり分離したりをくり返してきたようだ。 ![]() 争議の結果、待遇改善のいくつかは実現したけれど、作ろうと目指された産業別の労働組合は閉め出された。代わって作られる従業員組織は戦時下には産業報国会になるし、今日の日本の企業別労働組合だって、労組と名乗りながらも、むしろそうした戦前の従業員組織の尻尾をひきずっているようなところがある。 『澪つくし』に話を戻せば、ヒロインの姉の恋人である若者が検挙されたのは3月15日だと、今朝の放送では明かされる。あのころの3月15日に行なわれた左翼弾圧といえば、あの3.15事件ではないか! 1928年3月15日に共産党員とそのシンパにかけられた大弾圧であり、全国で検束された者数千人、検挙は約300人。これに取材して小林多喜二は『一九二八年三月一五日』を、中野重治は『春さきの風』を書いた。 ヒロインの姉の恋人は警察で酷い拷問を受ける。前記した小林多喜二の『一九二八年三月一五日』を脚本家(ジェームス三木)はもちろん意識していたろう。踏み込まれたアジトに、たしか「澪人舎」という看板が架けられていたのは一昨日の放送で目に入った。澪は『澪つくし』の番組タイトルからもじったとして、澪人とつなげればレーニンと読める。 この先の展開も視ていきたい気になった。
by suiryutei
| 2020-11-25 12:46
| 映画・TV
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