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『靖国問題』(高橋哲哉著 ちくま新書)という本が売れているらしい。数日前の新聞広告に「24万部突破」とあった。今年4月刊行だから、このテの"固い”テーマを扱った本としては異例の売れ行きだろう。それだけ人々の関心が高まっているのである。 そのこと自体はいいことだ。小泉総理がよく言う「外国から言われて決めることではない」というのは、当人が考えているのとは反対の意味において、そのとおりだからだ。まことに、外国から言われる前に、私たち日本人がよく考えておかねばらなかったことであった。そして、私たち自らの決断として靖国神社は廃止しておくべき存在だったのである。 その本『靖国問題』の「おわりに」の章に、石橋湛山が書いた『靖国神社廃止の儀 難きを忍んで敢えて提言す』という文章の一部が紹介されている。 知られているように、石橋湛山は戦前・戦中はジャーナリストとして軍国主義・植民地主義批判の論陣を張り、戦後は政界入りして自由民主党の総裁から総理大臣になった人物。『靖国廃止の儀』が書かれたのは、敗戦直後の1945年10月。もちろんA級戦犯は合祀されているどころか、まだ生きている。そもそも東京裁判だって、まだ始まっていない。 湛山はまず、戦没将兵を「永く護国の英雄として崇敬し、其の武功を讃える事は我が国の国際的立場に於いて許さるべきや否や」と問い、「万一にも連合国から干渉を受け、祭礼を中止しなければならぬが如き事態を発生したら、却って戦没者に屈辱を与え、国家の蒙る不面目と不利益とは絶大であろう」とする。 しかし、このような国際関係上の考慮だけが問題なのではない。湛山は続ける。 「又右の如き国際的考慮は別にしても、靖国神社は存続すべきものなりや否や。・・然るに今、其の大東亜戦争は万代に拭う能わざる汚辱の戦争として、国家を殆ど亡国の危機に導き・・・遺憾ながら其等の戦争に身命を奉げた人々に対しても、之を祭って最早『靖国』とは称し難きに至った。・・今後、此の神社が存続する場合、後代の我が国民は如何なる感想を抱いて、其の前に立つであろう。ただ汚辱と怨恨との記念として永く陰惨の跡を留むるのではないか。若しそうとすれば、之れは我が国家の将来の為めに計りて、断じて歓迎すべき事ではない」。 そして湛山自身が次男をマーシャル諸島で戦死させている戦没遺族である。 「・・・記者は戦没者の遺族の心情を察し、或は戦没者の立場に於いて考えても、斯かる怨みを蔵する神として祭られることは決して望む所でないと判断する」。 靖国問題をA級戦犯合祀だけの問題とし、したがって「分祀」で決着を図ろうとするのは問題の矮小化だろう。また東京裁判と結びつけて論じるのは、全くの誤解に他ならない。この神社が人々を戦争に動員する装置として機能してきたこと、これからもそう機能していくことが問題なのだ。 なお、『靖国問題』は、酔流亭も買って読んでみたが、論点がよく整理された好著である。一読を薦めたい。
by suiryutei
| 2005-07-02 11:36
| ニュース・評論
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Comments(6)
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chaotzu at 2005-07-02 22:32
なかなかの好著のようですね。私も読みますか。
靖国神社の遊就館なんかは、戦争賛美一色でうんざりします。 私からみるとウォー・テンプルです。
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suiryutei at 2005-07-03 16:20
靖国神社および遊就館の対極にあるのは沖縄の「平和の礎」とそれに併設された「平和祈念資料館」なのでしょうが、「礎」を訪れる日本政府首脳は「資料館」を決して訪問しないそうです。
そしてクリントン(当時の)米大統領が「礎」の前で日米(軍事)同盟の必要性について演説したり、米軍や自衛隊の高官が軍服姿で「慰霊の日」に招待されたりで、「第二の靖国化」さえ懸念されるそうですね。 「・・『平和の礎』のような施設についてさえ、決定的なことは施設そのものではなく施設を利用する政治である」と『靖国問題』の著者は述べています。
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sakuraasako at 2005-08-13 07:50
はじめまして。「石橋湛山」で検索をかけて、このブログに入りました。
戦後60年、還暦を迎える年にいったい日本がどのように「No War」キャンペーンを張るのかと期待していたら小泉さんの衆議院解散で先生方はウワノソラ。世界、特に東アジアに対して恥ずかしい限りです。 佐高信さんの「湛山除名」を読み心を鎮めていたところでした。 『靖国問題』読んでみます。酔流亭さんにお逢い(?)できてよかった。
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suiryutei at 2005-08-13 16:47
sakuraasakoさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
もう何年も前のことですが、私が住む町の憲法記念日の講演会に佐高信さんが講師として来て、石橋湛山のことを話していたのが印象に残っています。当時ちょうど「湛山除名」を雑誌に連載しているところだったらしい。 石橋湛山の評論集が岩波文庫から出ていますけれど、湛山の文章には格調がありますね。有名な「一切を棄つるの覚悟」(『東洋経済新報』大正10年7/23社説)など、題名からして潔いです。 お訪ねくださり、ありがとうございました。
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himajin
at 2013-08-05 12:37
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自民党総裁の石橋湛山は「靖国神社廃止論」を展開した。
保守奔流はそもそもこの流れではないのか? 敗戦のショックという状況下でと反論する(自民党)人もいるだろうか。 靖国さえなければ、自主憲法制定で9条改正も国防軍への呼称変更も、何ら問題なく行える。 靖国はカルトである。正常な神道ではない。 健全な保守思想を持っている人も天皇も全てを巻き込んでいく死の思想だ。 石橋湛山を調べれば日本の方向が見えてくる。 自民党圧勝の中で見えてきたこの国の元凶。とげ。 靖国神社を抜かないかぎり戦後は終わらない。 リベラル保守は「靖国神社廃止」を御旗にすればいい。 場合によっては日本が2つに分かれたっていいじゃないか。 その時は、リベラル日本は軍隊を持ちますよ。まともな国として出直したい。欺瞞に満ちた政治にはうんざりだ。 保守日本は自民保守と共産革新でやっていればいい。
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suiryutei at 2013-08-06 09:21
himajinさん、初めまして。
これも高橋哲哉さんのあの本に書いてあることですが、靖国神社の前身、東京招魂社は1869年の第一回合祀で幕末以来の官軍の戦死者3588人を祀って以来、靖国神社になった今日まで、内戦の死者も官軍だけしか祀っていません。会津戦争のあと、会津側の死者たちは埋葬すら禁じられ、野ざらしにされて獣や鳥に食われるままだったそうです。靖国信仰の本質が出ていますね。
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