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超大作『ベン・ハー』(1959年、アメリカ映画)が3日午後に放映されたのは、日頃なかなかいい映画をラインアップするNHKBSプレミアムとしても、この連休の目玉であったろう。なにしろ3時間半を超すのを一気に放送したのだから。 主演がハリウッド・タカ派のシンボルみたいなチャールトン・ヘストンというのが酔流亭には気にくわなかったのだけれども、メガホンをとったのがウイリアム・ワイラーとなれば視ないわけにはいかない。ハリウッド・タカ派シンボル先代のジョン・ウェインは嫌いでも、その映画を監督したのがジョン・フォードなら視てしまうのと一緒だ。 そうして、この映画について言えば、チャールトン・ヘストンの演技は悪くなかった。いや素晴らしかったと言っていい。 イエス・キリストの説法が人々を惹きつけ始めていた時代のローマ帝国属州ユダヤの地を中心に物語は展開する。だからキリストはときどき姿を見せるし、登場人物たちの会話に「若いラビがこんなこと言っている」とか「あのお方の話を聴けば・・」といったふうにも登場する。ヘストン扮する主人公はキリストと同じくらいの年齢である。 その主人公は属州ユダヤの名家の一人だったが、幼友達であったローマ帝国の官僚に属州支配に協力するよう求められ、それを拒否したため無実の罪に陥れられる。ガレー船の船底で漕ぎ手として奴隷労働に何年も従事させられ、しかも彼の母と妹まで要塞の牢獄に閉じ込められてしまう。 しかし、海戦に遭遇したときローマ帝国の総督を救出したことによって奴隷状態から脱け出し、のみならず総督の信頼を得て養子に迎えられる。そうして幽閉されている母と妹を救い出すべく、故郷に向かうのである。 この映画のアカデミー賞受賞11部門というのは、現在でも同賞受賞の最多記録だというし、全世界で大ヒットしたことによって、倒産寸前だったMGMはこの一作で息を吹き返したという。 すると、直前では破産の危機にあった映画会社が、よくあれだけの金を投じた(制作費は当時の金額で54億円)と感心するが、ワイラーなら絶対に失敗しないという信頼があったのだろうか。『ベン・ハー』に取りかかる前にワイラーが撮ったのは『大いなる西部』(グレゴリー・ペック主演、1958年)で、その素晴らしさについてはこのブログの去年9月26日更新記事に書いた。 『ベン・ハー』も商業映画として成功させながら、ローマ帝国による属州支配の不当を観る者に強く印象づけるなど、反骨精神も隠さない。それは古代ローマ帝国だけでなく、現代帝国主義に対する批判にも通じよう。ウィリアム・ワイラーというのは、つくづくたいした映画監督だと思う。 主人公の母と妹は、要塞の牢獄に幽閉されている間にハンセン病を患う。その苦悩は誠実に描かれているけれど、磔にされたイエス・キリストの奇蹟によって病が癒えるというのは、そういう結末にすっきりしないものを酔流亭は感じたということも書いておく。 映画に造詣が深く、ハンセン病に深い関心を寄せていた大西巨人がもしこの映画を観ていたら、どう考えたろうか、というようなことをちょっと思う。 ※ウィリアム・ワイラーについては吉田智弥さんの【枝葉通信】からも教えられるところ大であった。4月16日更新記事に同通信から一部を引用しています。
by suiryutei
| 2021-05-06 08:09
| 映画・TV
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