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『西部の男』という映画が先週TV放映されたのを視た。ウィリアム・ワイラー監督、ゲーリー・クーパー主演、1940年のアメリカ映画だ。 西部の或る地方で、トウモロコシなんかを作っている農民たちと、牛を追う牧畜業者たちの仲が悪い。牛が畑に入ってきて荒らすのを農民は嫌がるし、牧童には畑が邪魔だ。 事態をいっそう厄介にしているのがロイ・ビーンという男の存在だ。町の酒場を経営しながら、判事を自称している。そうして当時(南北戦争が終わってしばらく経った頃。ロイ・ビーンは南軍の生き残り)のアメリカ合州国西部というのは、そういう自称判事が実際の判事としてけっこう通用したらしい。自分が経営する酒場がときに法廷に早変わりして、この男が露骨に牧畜業者寄りの"判決”ばかり出す。 ロイ・ビーンという名前に酔流亭は憶えがある。同題の映画が、『西部の男』(1940年)よりずっと後、1973年に日本公開されたとき、試写会で観た。たしか銀座のガスホールであった。そんな会場まで憶えているのは映画を試写会で観ることなんて、我が人生に滅多にないことだからである。18歳、大学一年生のときであった。 つまりロイ・ビーンというのは、ビリー・ザ・キッドとかドク・ホリディなんかと同様、実在した人物であり、あることないこと脚色されながら、後年の西部劇映画に使われているのである。 こっちの映画『ロイ・ビーン』はジョン・ヒューストンが監督した。ビーンを演じたのは当時47歳のポール・ニューマン。 ヒューストンとワイラーでは、『ローマの休日』(1953年)を撮ったぶんワイラーのほうが日本では知られているだろう。しかしヒューストン(1906-1987)もワイラー(1902-1981)に劣らぬ名匠である。ハンフリー・ボガードを主演に『マルタの鷹』(1941年)とか『黄金』(1948年)などの傑作がある。 さて二人の巨匠に描かれたロイ・ビーンは、判事というより無法者だが、どこか憎めないところもある。やんちゃ坊主がそのままオヤジになったような。今回視た『西部の男』では、主役はロイ・ビーンではなく、ゲーリー・クーパー演じる流れ者だ。デタラメな判決で危うく縛り首にされかけながらも、機知でそれを脱してから、ビーンと妙に気が合ってしまう。農民たちと牧童たちとの抗争をなんとか平和的に解決させようと尽力する。 ところが、そのエンパシー(他者を理解しようとする能力)あふれる働きかけは荒くれ者のビーンに通じない。最後は二人が対決する。 対立抗争する二つの集団の間に立って、平和主義者の主人公が苦労するというのは、戦争を挟んで18年後のワイラーの傑作『大いなる西部』と同じである。『大いなる西部』ではヒロインを演じたジーン・シモンズに酔流亭は魅了されたが、この『西部の男』ではロイ・ビーンを演じたウォルター・ブレナンがじつによかった。彼はこの作品でアカデミー賞の助演男優賞を受賞した。 NHKBSプレミアムでは週に一本は西部劇の放映を混ぜるようだ。その作品の選択が悪くない。
by suiryutei
| 2021-07-19 07:30
| 映画・TV
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