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新人事制度 大阪での報告①~③
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『伝送便』11月号に寄稿した文章です。3400字近くあるので、一回の更新記事としては少し長いですが全文を転写します。 ![]() 去年一〇月一三日および一五日に出された労働契約法旧二〇条裁判最高裁判決を経て、会社が現在見直しを考えている四項目をJP労組交渉情報九月二一日付が明らかにしている。それについては本誌前号でも報じた(一七ページ囲み記事『期間雇用社員の上限制度(三年)を提案』)。次の四点だ。 ① 勤続三年を超えた時点でスキル評価がB以上の期間雇用社員は有期雇用契約の更新を行なわず、無期雇用に転換する。無期への転換を希望しない者は雇止めとする。同時点でスキル評価がCの者も雇止め。 ② アソシエイト社員(期間雇用から無期に転換した社員)に有給の病気休暇を一五日まで新設する一方、正社員も含めて、病気休暇は暦日三一日以上の療養が必要となる傷病のみに。現在は病休扱いの正社員の生理休暇は無給の休暇に。 ③ 正社員の夏期・冬期休暇を現在の各三日を各二日に、アソシエイト社員は現行の各一日のまま、これまでどちらもゼロだった期間雇用社員は各一日に。 ④ 正月の一月二・三日に正社員が出勤すれば135/100の割増があるのを廃止し、100/100とする。一月一~三日の年始勤務手当は正社員を現在の五〇〇〇円から六五〇〇円へ、アソシエイト・期間雇用社員は四〇〇〇円から五〇〇〇円へ。 一番の問題は①である。会社の考えを批判する前に書いておけば、この記事をいま読んでくださっている人の中に、有期雇用から無期に転換してしまえば「好きなときに退職する・職を変わる自由が損なわれるのではないか」ということを心配して無期転換を躊躇っている人はいないであろうか。 もしいるとしたら、それはまったくの誤解だ。労働契約に期間が定められていないかぎり(無期雇用というのはそれだ)、労働者はいつでも退職の申し入れができ、労働関係はその二週間後に終了する。正社員だって、これはそう。退職したいという労働者の意思は尊重されなければならず、退職について使用者の許可を条件として、たとえば業務の引き継ぎが終わるまでは認めないといった就業規則や労働契約の条項は無効である。いかに悪辣企業・日本郵政であっても、就業規則にそんな条項はない。 有期から無期に転換したところで賃金がそれで上がるわけではなく、大きなメリットは望めないというのもその通りだけれども、契約更新の度に雇い止めされるのではないかという不安が軽くなるだけでも無期雇用のほうが労働者には有利だと思う。
会社の狙いは
しかし、無期転換ができるのをこれまでの五年を超す勤続から三年へ縮めようと会社が言い出したのは、そんな親心からではもちろんない。会社がそれほど親切であったなら、初めから有期雇用をここまで拡げて若者たちを安く使い捨てにしてはこない。無期転換の拡大と引き換えに、狙いは気に食わない者を雇止めにすることだ。あるいは雇止めの不安で脅しつけて文句を言わせないことだ。 スキル評価B以上とはそれほど高いハードルではないと思われるかもしれない。だが、本誌今年四月号でLot49さんが適切に指摘するように(『もうひとつの二〇二一年一〇月問題』)、四年以上たってもCランクの人は実際に存在する。途中での担務変更や班異動などによって直近のスキル評価がCとなる可能性は皆無ではない。クセモノは一〇項目ある基礎評価だ。そのうちの⑦職場内のルールを順守している⑨・・自分勝手な行動をしていない等は、評価者である正社員や管理職から見て「生意気な奴」が引っかけられる懼れがある。それなのに基礎評価を全てクリアしなければスキル評価はいっこうに上がっていかない。 職場で何か理不尽なことがあっても声を上げれば生意気とか反抗的とされて契約更新をはねられるかもしれない・・労働者にこう思わせて忍従を強いることが有期雇用という働かせ方の大きな問題点(経営者にとっては利点)の一つ。郵政がやっていることは無期雇用を拡大するふりをしながら有期雇用のそうした負の側面はしっかり温存しておこうというものだ。無期転換を会社は改正労働契約法一八条によって迫られたのだが、この一八条は転換の条件としては有期雇用の契約更新の積み重ねを挙げているだけで、スキル評価がどうのといった要件など求めてはいない。郵政における無期雇用への転換というのは、法律に従って何かいいことをやっているように装いながら、じつは小狡くも労働契約法の潜脱である。
臨時的な労働力とは
そもそも業務が恒常的にある業種に期間を区切った雇い方(有期雇用)をあてはめるのがおかしい。フランスでは「期間の定めのない契約が労働関係の通常かつ一般的形態である」と労働法典で宣言し、有期雇用を例外的なものと位置付けているし、ドイツのパートタイム・有期契約労働法は、有期契約を締結するには原則として合理的理由が必要であることを規定している。この場合「例外的」とは一時的にしか発生しない業務のことであり、そういうものに限っては有期雇用にも「合理的理由」があるとしているのである。 日本の郵便・物流業はどうか。年末繁忙期における一時的な物量急増ならそういう場合にあたるだろう。だが、五年超だ・いや三年でいいというのはそういう労働力を対象とした話ではもちろんない。JP労組交渉情報には会社の「基本的な考え方」も紹介されている。それによれば「会社として相応に継続的な勤務を期待するか否かのスキルの見極めには三年程度の期間が必要」とする一方で、前段では、対象たる時給制契約社員の定義を「業務の必要に応じて柔軟に要員を確保・補充するための臨時的な労働力として採用する社員」とする。 いったい「スキルの見極めには三年程度の期間が必要」な労働力のどこが「臨時的な労働力」なのか。三年も継続して働いていれば、もうとっくに恒常的労働力ではないか。
病休が使えなくなる!
いまフランスとドイツの例を引いた。「出羽の守」とからかう人がいるかもしれない(どこそこの国では・・とすぐ言いたがる)。しかし他国ことにEU諸国と比べると日本の労働者の置かれた状態の酷さはやはり目につくのである。ドイツにおける有給休暇の取得状況は二〇一〇年頃の数字で労働協約の平均水準は年間二九日で、ほぼ完全取得される。会社の「基本的な考え方」が紹介する二〇一九年における日本企業の平均は九・四日だ。日本の労働者ばかりが過労死するはずである。しかるに、会社が見直しを考えている四項目の二番目は、アソシエイト社員にこれまで無かった有給の病気休暇を一五日まで付与するのはいいとして、正社員を含めて、病気になっても三〇日までは病休を使わせないという。これではアソシエイトだって、よほど重病に罹らない限りせっかく手にした権利としての病休を使う機会は稀であろう。正社員も有期雇用社員も病気になったときに備えて有給休暇を使わず貯め込まざるをえなくなってしまう。「基本的な考え方」は日本郵政グループの有給取得日数は年平均一八・五日で、前述した日本企業の平均九・四日を「大きく上回る実態」と、あたかもそれが悪習であるかのごとく書く。こんな恥知らずなことをよくまあぬけぬけ書くものだ。日本企業では有給休暇もろくに取れないことのほうが良くない慣行であり過労死の温床の一つではないか。
インセンティブ論の虚構
ぬけぬけ書くといえば、「正社員としての有為な人材確保」とか「長期雇用のインセンティブ」という言葉が会社の「基本的な考え方」には例によって出てくる。例によってというのは、このいわゆるインセンティブ論の虚構と差別性については、二〇条裁判西日本原告の一人、岡崎徹さんによって怒りを込めて、そうして充分な説得力をもって論破ずみだからである(たとえば本誌去年一一月号『時代の扉が動く音が聞こえた』)。政府や財界ですら建前だけにせよ「非正規格差の解消」を口にせざるをえなくなっているのに、日本郵政という会社は格差の何が悪いとばかり開き直っているのである。こんな反社会的「基本的な考え方」を許してはならない。 さてJP労組のほうの「基本的な考え方」は、こうした会社提案に、年内の地方別春闘討論集会や来年一月の二二回中央委員会を経て交渉を展開し、春闘妥結にあわせて妥結整理、その妥結判断は一五回定期全国大会で確認するということだ。職場からの怒りで妥結なんかさせない状況に持って行こう! ![]() ※関連する過去記事として
by suiryutei
| 2021-11-04 08:00
| ニュース・評論
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Comments(2)
言語の問題として、なぜ能力評価と言わずに「スキル評価」と言うのかが疑問です。
カタカナで「スキル」とすればさも新しいことをしているという、ポーズにすぎません。 仕事の質を高めるためには、個人の能力(「スキル」!)の上昇ではなく、 公平で平等な労働環境を整えることを優先すべきです。 個人の能力、その積極性を引き出すには、雇用政策の改善が必要です。 今般の日本郵政の「スキル評価」導入案は、同一労働同一賃金という雇用政策の問題を、個人の問題に矮小化し、労働契約法18条を脱法化するものです。 労組は会社に対して、正規雇用か安定した雇用につながる可能性を求めるべきであり、会社といっしょになって非正規雇用の選別と排除したら、かならずそれは自分に返ってくることを覚悟すべきです。そんな労組は雇用者といっしょになって自公支持の集票マシーンに衣替えした方がいいです。現に、JPUは今般の選挙で、立憲に投票するのではなく、自民党に投票したのではないでしょうか。自分だけ生き残ろうとする者は自分も周囲の人間関係も壊してしまうのです。
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墨田のカッパさん、まったくそのとおりです。
自分だけ生き残ろうとすれば、結局自分に返ってきて自滅します。チェルヌイシェフスキー→クロポトキン→ブレイディみかことつながる、利己と利他を統一する思想が必要です。JP労組はどうしようもありません。
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