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新人事制度 大阪での報告①~③
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濱口桂一郎氏の最新著『ジョブ型雇社社会とは何か』(岩波新書)についての書評(『伝送便』誌11月号掲載)を昨日(6日)の更新記事にUPしました。 濱口桂一郎『ジョブ型雇用社会とは何か』書評 ~『伝送便』11月号掲載 : 酔流亭日乗 (exblog.jp) しかし、あの書評では、濱口氏が同書で提起している<従業員代表制>について論及していません。 そこで補足として、以下を書きます。 ![]() 話がこみ入ってくるので、上掲『伝送便』掲載書評ではあえて触れなかったが、『ジョブ型雇用社会とは何か』で議論を呼びそうなのは、最終の第六章で提起される従業員代表制の問題である。 濱口氏によれば、集団的労使関係には、労使関係を労働力商品の売り手と買い手の債権関係と捉えて、争議行為を含む交渉を行なう面と、同じ企業の構成員として企業内のさまざまな問題について協議(争議は行なわない)を行なう面とがある。大陸ヨーロッパの多くの国では前者は労働組合が、後者は従業員代表制が担当する。このシステムはイギリスとアメリカでは育たなかったが。 たとえばドイツの産業別労働組合がなお強力なのは、企業内の問題は従業員代表制に任せることによって、個別企業にとらわれずに全産業の労働者を代表して使用者代表と交渉できるからだという。今春、木下武男『労働組合とは何か』が出版されたとき、同書への濱口氏の一番の不満は、木下氏は従業員代表制に論及していないという点であった。 木下武男『労働組合とは何か』を推す : 酔流亭日乗 (exblog.jp) 酔流亭の私見では、ドイツで従業員代表制が健全に機能しているとすれば、それは産業別労働組合が存在していればこそではないのか。その企業で働いている産別労組員も従業員代表制に参加しているだろうから、そこでの協議が一方的な経営側ペースにならないよう活動するだろう。日本のように産業別労組が存在していない労働社会では、運営経費は企業が負担する従業員代表制が作られれば、これまでもほとんど協議しかやってこなかった企業別労組は存在意義を失い、それに吸収されてしまうのではないか。じつは濱口氏もそのことへの危惧は表明している(287~288ページ)。 日本では両大戦の間に、産業別労組を作ろうという動きがあったのを弾圧して潰していった後で企業内には工場委員会体制というのが作られた。争議はやらないけれど協議はやる。これが戦時下には産業報国会に発展する。酔流亭はこのあたりの歴史を濱口さんの旧著『日本の雇用と労働法』(日経文庫)などから教わった。現状では従業員代表制は工場委員会体制の現代版になってしまわないか。 労組組織率が二割を切っている状況で、従業員代表制も無ければ、大多数の労働者は意見を反映させる場が職場に全く無い。労組のある大企業であっても、非典型労働者は意見反映の場から排除されている場合が多い。だから従業員代表制の構想は一概に否定されるものではないと思う。悩ましいところである。しかし、いかに困難であっても産業別労組を作るという方向を一番に強く出すべきではなかろうか。このあたり、自分自身の実践の問題としてどれほどのことができるのかを考えながら発言しなければならないことであるが。 ![]() 労働法学者の西谷 敏・大阪市立大学名誉教授が2010年の著作『人権としてのディーセント・ワーク』(旬報社)で従業員代表制について論及している。濱口氏の議論も念頭に置いて書いていると思われるので、その箇所を写しておく。
・・最近、各企業での非正規労働者の増加を背景として、正社員のみから成る労働組合とは別個に従業員代表制もしくはそれに類する組織を制度化すべきだとの議論が高まりつつある。私も、労基法などが予定している現在の労働者過半数代表制にはさまざまな欠陥があるので、労働者代表委員会のような常設の代表組織を制度化することが必要だと論じてきた。それは、非正規労働者も参加する代表機関として、非正規労働者の地位改善に多少とも役立つ可能性がないとはいえない。 しかし、このような労働者代表委員会が、正規・非正規労働者の利益を適切に調整し、使用者と意味のある交渉を行なうことは、労働組合の場合以上に難しい。また、こうした機関が労働条件の実質的な決定に関与することになれば、低水準もしくは不適切な労働条件が使用者との間で合意されるなど、現状より大きな弊害がもたらされる危険がある。労働者代表委員会の守備範囲は、さしあたりは労基法が予定している過半数代表の役割(法定基準の緩和を中心とする)に限定されるべきだと考えられる。したがって、正規・非正規の格差縮小など、ディーセント・ワーク実現の課題に労働者を代表して取り組む組織としては、やはり労働組合しか考えられないのである。 (西谷 敏『人権としてのディーセント・ワーク』340-341ページ)
by suiryutei
| 2021-11-07 08:00
| ニュース・評論
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