新人事制度 大阪での報告①~③
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写真の下に書きつけるのは、一週間ほど前、夜中に起き出して、自分の考えを整理するために作ったメモ。 ![]() 雇用の在り方について、外国は「ジョブ型」なのに対して日本は「メンバーシップ型」であるといった特徴づけがこの頃よくなされる。賃金などの決め方が前者(ジョブ型)は仕事基準、後者(メンバーシップ型)は人基準ということだ。正規雇用に限れば、日本の雇用が人基準だというのはかなり前から認識されていたと思うが、ジョブ型VSメンバーシップ型と図式化されるようになったのは近年のことで、濱口桂一郎氏(労働政策研究・研修機構研究所長)が最初ではないか。(注①) たしかに日本の雇用の特徴をイメージするには便利な図式だ。しかし、ジョブ型はともかく、正規雇用とはいえ日本の労働者は企業から本当にメンバーシップを付与されているのだろうか。それが付与されているのは株主など経営側の人間だけではないか。なるほど日本の大抵の大企業には<持株会>なんてのがあって、正規雇用だけだが株を持つことができる。というか持たされる。しかし、その配当で生計が立つわけではない。あくまで自分の労働力を売って食っている。労働者は企業のインサイダー(内部者)なのではなく、労働力商品の売り手として買い手である企業に対している。言葉の正確な意味でメンバーシップが付与されるのは内部者だけだ。 では、ついメンバーシップ型と言ってしまいたくなるけれど本当にはメンバーシップを与えられているわけではない日本の労働者の状態は何と言えばいいのか。『資本論』に<包摂>という言葉がある。あるものが、本来は自分とは異質なものを抱き絡めて自分に都合よく変形していく、といった状態であろうか。労働者が工場で単純作業をくりかえしているうち、彼がほんらい持っている創意を失わされていくような。こんにち日本の労働者が置かれているのは、資本によるこの<包摂>が進んだ状態ではなかろうか。(注③) それをどう打ち破るか。人基準の雇用が包摂を進めるのに都合がいいのは事実。メンバーシップを与えられていると錯覚させることができるのだから。では人基準から仕事基準に変えればいいのか。ところが資本は仕事基準を企業に都合のよいところだけつまみ食いしようとする。ひところの「同一労働同一賃金」を巡る動きがそう。正規雇用の賃金を下げるためにこれを持ち出した。「同一(価値)労働同一賃金」は世界の労働運動の当然のスローガンだから、資本の勝手な動きだけ見て、このスローガンそのものに敵意をぶつけるのは誤りだが。ただ、人基準から仕事基準へ変えていくにしても、それはあれやこれやの政策提言として行うのではなく(それでは資本に好きにつまみ食いされる。例えば水町勇一郎・東大教授の「挫折」)、職場からの労働者の闘いで道を切り開いていくのでなくてはならない。 ※水町勇一郎教授の「挫折」については、濱口桂一郎氏の洞察が参考になる。 酔流亭さんのやや長めの書評: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳) (cocolog-nifty.com) ※ジョブ型への労働者的道行きについては、業種別職種別ユニオンの取り組みが参考になると思う。 「業種別職種別ユニオン運動」研究会のHP-TOP (gyousyubetu-syokusyubetu-union.com) (注①)濱口桂一郎『ジョブ型雇用社会とは何か』書評 ~『伝送便』11月号掲載 : 酔流亭日乗 (exblog.jp) (注②)安倍支持率62%?に ~株と労働者~ : 酔流亭日乗 (exblog.jp) (注③)<包摂>と<物質代謝>と ~【いてんぜ通信】寄稿① : 酔流亭日乗 (exblog.jp)
by suiryutei
| 2022-02-12 09:12
| ニュース・評論
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