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先ほど放送されたばかりの朝ドラ『カムカムエブリヴァディ』に俵万智の『サラダ記念日』が出てきた。 現在のヒロインひなた(川栄李奈)の弟・桃太郎は高校一年生。姉の親友・小夜子に子どもの頃から憧れていたのだが、小夜子は桃太郎が通う高校で国語教師になったようだ。小夜子にもっと接近したい桃太郎が自分が読むのにいい本がないかと小夜子先生に相談すると、小夜子は『サラダ記念日』を本棚から抜いて貸す。 1925年から物語が始まったこのドラマも『サラダ記念日』がベストセラーになった1992年まで進んできたわけだ。ヒロインの初代は上白石萌音、その娘の二代目ヒロインは深津絵里が演じ、現在の川栄李奈はヒロイン三代目ということになる。深津絵里はその母として今朝も出演している。 ところで『サラダ記念日』といえば、俵万智の最近(2018年)の著書『牧水の恋』を酔流亭はつい最近読み終えたばかりである。今日ここに更新するのは、その本を読み終えてのつぶやきのようなもの。 今朝の朝ドラの放送がきっかけにしてはいやに手回しがいいと思われそうだが、数日前に書いておいて更新が延び延びになっていたのである。 なお朝ドラ現ヒロインの弟が淡い恋心を抱くのは小夜子、若山牧水の苦しい恋の相手の名は小枝子で、ちょっと似てますね。 2018年の初秋にこの本が刊行されたとき、牧水好きの酔流亭としては新聞広告を目にして少し気になったのだが、本屋に行くほどのこともなく、やがて忘れてしまった。 それを先日、近所の図書館の棚に見つけたので借りてきた。全部で12章から成り、それにエピローグが付くから、借り出し期間の2週間、寝る前のほろ酔い気分で一章ずつ読んでいくのにうってつけだ。 さて、その牧水の恋の相手は小枝子という女性である。のちに生涯の伴侶となる喜志子と牧水が出会う前のことだ。喜びよりも苦しみ、懊悩が多い恋であった。 酔流亭が持っている牧水の評伝は『若山牧水~流浪する魂の歌~』(大岡信 著)である。 好著だが、書かれた1974年の時点では小枝子についてまだわかっていない点が多かったようだ。著者の大岡信も、こう書いている。 「・・わからない部分の多い、謎に包まれた女性であった」 「小枝子についての詳細な事実は、つい最近になってようやくはっきりと書かれはじめている」 ここで大岡が「つい最近になってようやくはっきりと書かれはじめている」と書くのは、牧水の弟子であった大悟法利雄の当時の執筆活動を念頭に置いている。 そうして『牧水の恋』において俵万智が事実関係を依拠する大悟法の労作『若山牧水新研究』が世に出たのは1978年だ。俵万智はその本を参考に書き進めながらびっくり仰天している。 酔流亭も驚いた。今ここには書かないけれど。 小枝子との恋に破れたあと、喜志子という包容力のある女性と出会えたのは牧水にとってよかったと思う。同時に、その前の苦しい恋がなければ、たとえば
というような絶唱も生まれていなかった。牧水の名歌は恋の懊悩から生まれたものが多いのだ。なるほど「寂しさのはてな」いはずだ。 喜志子夫人が登場するのは最後のほうだけで、著者の俵万智は彼女に充分な敬意を払いつつも、敬して遠ざけているような感じがいくらかする。小枝子の翳というか危なっかしさのほうが、「恋多き」人であるらしい著者には気になったのだろう。
by suiryutei
| 2022-03-04 08:29
| 文学・書評
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