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毎年3月15日が来ると中野重治の『春さきの風』を思う。1928年3月15日に行われた共産党員やそのシンパに対する弾圧(3.15事件)で検挙された若い母親と赤ん坊のことを描いた短編小説だからだ。 ![]() 今年はわけても感慨が深いのは、やはり中野の、これは長編である『むらぎも』の読書会に現在参加しているから。『むらぎも』と『春さきの風』は時代がつながっている。中野重治は『むらぎも』に描かれた時代をくぐって3.15事件に遭遇し、『春さきの風』のような優れた作品を書いたのである。 ![]() 上の写真は先月の読書会のものだが、その日発行された【中野重治『むらぎも』を読むニュース】第2号には1月の読書会のときの討論の記録が掲載されている。酔流亭発言の部分をそこから転載させてもらう。『春さきの風』に言及しているからだ。 土田宏樹 僕もあの小説(「春さきの風」)、大好きでね。しかもあれは渥美さんが言われたように1928年の3.15事件のときで、「むらぎも」が27年ぐらいまでだから、まだ続いているんですよね。だから「むらぎも」という小説が非常に重要なのは、「春さきの風」とか「雨の降る品川駅」と続いた作品であって、中野はこういう時代を通過して「春さきの風」を書き「雨の降る品川駅」を書いたのだというのが非常によくわかるんです。ただ同時に「春さきの風」も「雨の降る品川駅」も、まさにあれが起きた時代に書いている。「むらぎも」は、1950年代になって五十歳を過ぎた中野が自分の若い頃のことを回想して書いているから、「春さきの風」のようなみずみずしさがないですよね。この小説の物足りない点があるとすればそこにあると思います。そういうところも今日報告で教えてもらって、とてもよかった。 あともう一つ勉強になったのは福本和夫のこと。よく名前は聞くけども、資料で福本さんの文章まで用意してもらってありがたかった。同時に新人会の「ケッタクソのわるい」発言なんかを、あまり福本主義と結びつけない方がいいんじゃないかという気がします。僕は福本主義についてはよくは知らないですが、あそこで安吉が「ケッタクソのわるい」と感じた、そういう感覚はわかる。この時代は日本のマルクス主義がまだ若い時代だし、その若い運動に入ってきた人たちもまた若い。そこから来る未熟さとか観念性とか、そういうこともあの時代は福本主義という形をとったんだろうけれど、福本和夫がいようがいなくてもそれはむしろ普遍的な問題としてあると思うんです。だから福本主義は福本主義で重要だけど、あまり福本に結び付けない方がいいかなという気がしました。 ※関連する過去ログとして例えば 『永続敗戦論』と『春さきの風』 : 酔流亭日乗 (exblog.jp) ※『むらぎも』の4回目(最終回)の読書会は3月26日午後1時から本郷三丁目HOWSホールで開催されます。下はHOWS(本郷文化フォーラムワーカーズスクール)のパンフレットから抜粋。
by suiryutei
| 2022-03-15 04:54
| 文学・書評
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