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新しいNHK朝ドラの舞台が沖縄なのに誘われてというわけではないが、伊波普猷を読み出している。 伊波普猷(いは ふゆう)。1876年ー1947年。沖縄県那覇市出身の民俗学者、言語学者。沖縄学の父と言われた碩学だ。柳田國男とはもちろん、河上肇とも親交があった。 幸い、わが本棚には沖縄タイムス社が刊行した〔伊波普猷選集〕全三巻が揃っている。奥付には1961年初版、1974年第三刷とある。3歳上の兄が1970年代に購入したのが残されて我が本棚にあるのだ。 上巻を開くと、彼の本格的処女出版であった『古琉球』(1911年)という文章が冒頭にあるので、まずそれに目を通し、次いで中巻に飛んで巻末に置かれた『沖縄歴史物語』(1947年)を読む。これは亡くなる直前に書かれたもの。 題名からも窺われるように、どちらも沖縄の歴史が叙されている。 『沖縄歴史物語』の終わり近くに差し掛かったところでドキリとした。 薩摩が琉球を植民地のように支配していた時代(日本史の時代区分では江戸時代)、琉球駐在の薩摩の役人は琉球側の接待担当に定期的に招宴されていただけでなく、口がさびしくなると「いつ何時でもやって来て、無礼講を演じた。この時彼らが欲しそうに眺める品物は、どんな家宝でも彼らの手に渡った」(中巻495ページ)とのことである。琉球側の接待担当は「大和横目」という役名だったが、そんなふうに薩摩の役人にたかりとられるので「大和横目のあとは盗人も這入らぬ」と言われた。 酔流亭がドキリとしたというのは、こういうことである。7年前、2015年の夏、沖縄を訪ねて嘉手納市に住む友人Fさんのご自宅に泊めていただき、泡盛をおおいに飲んで愉しい夜を過ごした。翌朝、Fさんの家の戸棚に置かれていた徳利にふと目が留まり「これ、いいですねぇ」と口にするや、Fさんはためらうことなくその徳利を戸棚から取り出して無造作に新聞紙にくるみ、酔流亭に持たせてくれたのである。 あのとき酔流亭はきっと余程もの欲しそうな目をしたんだろうな。「彼らが欲しそうに眺める品物は、どんな家宝でも彼らの手に渡った」という往時の薩摩の役人のたかり行為と同じではなかったか。 その徳利はこれ。Fさん、大事にしていますからね。 下の写真の左に立つ聡明そうな少年が若き日の伊波普猷である。選集の口絵写真から。
by suiryutei
| 2022-04-14 08:48
| ニュース・評論
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