新人事制度 大阪での報告①~③
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昨日の朝刊に載った記事だ。 アマゾンで労組といえば、ついこの春、米ニューヨークの物流拠点で合州国のアマゾンで初めての労組結成が報じられたばかり。 国内発の今回のニュースは、孫請けの配達員による動きだ。アマゾンジャパンは配達を運送会社に委託する。記事に詳細は書かれていないけれど、ヤマト運輸(クロネコヤマト)とか日本郵便(ゆうパック)も含まれるだろう。これら運送会社では直接雇用する配達員だけでは人手が足りず、委託業者も使う。自分の車を持つ人もいるし、会社から車を借りる人もいるが、個人事業主という扱いになる。そのようにして働いている横浜市の10人が労働組合を作り、委託先の運送会社に対してだけでなく、アマゾンにも団体交渉を求めているというのだ。 記事を読む限りでは、アマゾンは今のところ団交に応じる姿勢は明らかにしていないようである。 記事を読んで驚いたのは、配達料が2年ほど前から日当制に変わっているということだ。2015年秋に出版された『仁義なき宅配』(小学館)はそのあと起きた<物流危機>の実態を先取りして知らせた好著であった。著者の横田増生さんはクロネコヤマトを宅配する委託ドライバーの助手席に横乗りすることから取材を始める。当時は荷物1個あたり150円が配達料。だから1日100個運べば1万5千円、200個なら3万円が入る。そこからガソリン代とか車検代や保険代その他が出ていくわけだから、平均して1日150個は運ばないと生活が立っていかないということだった。それでも荷物を多く運べば運ぶほど収入は増える。いっぽう運送会社に直接雇用されるドライバーは時給制だから、1日の所定時間内(8時間)に配りきれなければ、延長して働いた分は残業代(超勤手当)が出る。実態は残業時間どおり正確に払われているか怪しいけれども建前としてはそうである。 ところが、日当制ならば、荷物を1日何個運ぼうが、何時間働こうが、収入は変わらない。 そうして、日当制に変わった2年前ごろから1日に配る荷物が急増して倍くらいになっているという。 労組結成を呼びかけた男性ドライバー(50代)が毎日パソコンに入力してきた記録によると、20年7月の1日の平均は116個。それが21年8月には178個になり、今年5月は214個に増えた。しかし、報酬は1日1万8千円で変わらない。自己負担するガソリン代や車の維持費を抜くと手取りは月22万円ほどだという。 荷物が増え労働が過重になった分は働く者に還元されず、すべて運送会社とその上にいるアマゾンが吸い上げてしまうのである。 労組結成を呼びかけた男性は、以前はヤマト運輸や日本郵便の委託ドライバーとして働いていたという。ここから覗えるのは、こうした物流業の労働者は流動性があるということである。労働条件が酷いから一つところに長く働く気にならないということだが、それは企業の枠にとらわれないということでもある。企業別に分断された状態を乗り越える可能性があるのだ。 契約関係の違い(雇用であろうと委託であろうと)や契約先企業の違いを超えて、働く者は団結する。そうした動きの中から本当のジョブ型労働運動への展望を開いていきたいものである。 ※ケン・ローチの名作『家族を想うとき』の主人公も宅配の委託ドライバーだった。
by suiryutei
| 2022-06-15 09:21
| ニュース・評論
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