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明け方に目を覚ますと、まずやることは水を一合ほど飲むことだ。寝る前に湯呑に注いで盆に載せ、枕元に置いてある。 それからお手洗いをすませ、郵便受けから朝刊を取ってき、しかし、朝刊を開く前にパソコンの電源を入れる。 今朝もそうである。すると友人の添田さんが、出たばかりの『両手にトカレフ』(ブレイディみかこ著、ポプラ社)のことをご自身のフェイスブックに書いているのが目に留まった。 この本は酔流亭も読み終えたばかりだし、添田さんが書かれていることに強く共感するので、そのFB記事を酔流亭のFBにシェアさせてもらった。フェイスブックを通じてこのブログを読んでくださっているなら、この記事の前にその添田さんのFB記事をご覧になれるはず。 添田さんは通勤の電車の中で読んでいて、夢中になり、降りる駅を乗り過ごしてしまったという。わかるなあ。酔流亭は仕事からはもうリタイアしたので自宅で読んだけれども、やはり時がたつのを忘れて本の中の世界に没入した。 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』をはじめ優れたノンフィクションを書いてきた著者の初めての小説である。英国の、ロンドンからそう遠くない町を舞台に、14歳の少女ミアが向き合う貧困が描かれている。が、描かれているのは貧困だけではない。8歳の弟チャーリーをおもうミアの気持ち、近所に住むシングルマザー、ゾーイのミアやチャーリーへの心遣いがこまやかだ。「ケン・ローチ監督の映画の原作になりそう」とも添田さんは評しているが、そういえばローチ監督の3年前の作品の邦題は『家族を想うとき』であった(原題は『Sorry We Missed You』)。貧困は暗鬱なのに読後感が快いのは、それだからだろう。 ゾーイとイーヴィの母娘には、娘と息子の違いはあるが、『ぼくイエ』母子(つまり著者と彼女の息子)がいくらかは投影されているような気がする。 ミアの物語と並行して、ミアの読書体験というかたちで金子文子の少女時代が綴られていく。アナキスト金子文子がもう一人のヒロインであること、それからマルクスがちょこっとちらつくところにも著者の真骨頂が窺われる。
by suiryutei
| 2022-06-18 09:10
| 文学・書評
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