新人事制度 大阪での報告①~③
記事ランキング
最新の記事
タグ
労働(124)
最新のコメント
カテゴリ
最新のトラックバック
以前の記事
2025年 04月 2025年 03月 2025年 02月 2025年 01月 2024年 12月 2024年 11月 2024年 10月 2024年 09月 2024年 08月 2024年 07月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
今日から7月。2022年も後半に入った。 戦争、コロナ、いろんなことがあった今年前半だったな・・・。 さて『伝送便』7月号が昨日完成した。 ![]() いくつか記事を書いたので、順に転写していきます。まずは日本のアマゾンにおいて委託で働く人たちが労働組合を作ったというニュースを論じたものから。 ![]() アマゾンで労組といえば、ついこの春、米ニューヨークの物流拠点で合州国のアマゾンで初めての労組結成が報じられたばかりだ。 米アマゾン労組結成について『伝送便』掲載記事 : 酔流亭日乗 (exblog.jp) 日本国内でも、アマゾンの下請業者を通じて配達業務に携わっている配達員たちが労働組合「アマゾン配達員組合横須賀支部」を結成、六月一三日に厚生労働省で記者会見を開いた。 アマゾンジャパンは配達を運送会社に委託する。ヤマト運輸、佐川、日本郵便も関わってきた。しかし、アマゾンが求める低運賃と折り合わず、たとえばヤマトでは二〇一七年にはアマゾンの総荷物のうち七〇%を扱っていたのに二〇一九年には三〇%に減らした。日本郵便でも、アマゾンは運賃を値切るくせに配達を遅れるなとか注文ばかり多いと悪評だ。 その結果、いまやアマゾンの配達の中心は大手以外の配送業者だ。これら運送会社では直接雇用だけではなく、さらに業者に委託する。アマゾンからは孫請けになる。自分の車を持つ人もいるし、会社から車を借りる人もいるが、個人事業主という扱いだ。そのようにして働いている横浜市の一〇人が労働組合を作り、委託先の運送会社に対してだけでなく、アマゾンにも団体交渉を求めているのである。アマゾンは今のところ団交に応じる姿勢は明らかにしていないようである。
『仁義なき宅配』その後
その委託では配達料が二年ほど前から日当制に変わっているという。二〇一五年秋に出版された『仁義なき宅配』(小学館)はそのあと起きた<物流危機>の実態を先取りして告発した好著であった。著者の横田増生さんはクロネコヤマトを宅配する委託ドライバーの助手席に横乗りすることから取材を始める。当時は荷物一個あたり一五〇円が配達料。一日一〇〇個運べば一万五千円、二〇〇個なら三万円が入る。そこからガソリン代とか車検代や保険代その他が出ていくわけだから、平均して一日一五〇個は運ばないと生活が立っていかない。それでも荷物を多く運べば運ぶほど収入は増える。いっぽう運送会社に直接雇用されるドライバーは時給制だから、一日の所定時間内(八時間)に配りきれなければ、延長して働いた分は残業代(超勤手当)が出る。実態は残業時間どおり正確に払われているか怪しいけれども建前としてはそうである。 ところが、日当制ならば、荷物を一日何個運ぼうが、何時間働こうが、収入は変わらない。 そうして、日当制に変わった二年前ごろから荷物が急増して倍くらいになっているという。 労組結成を呼びかけた男性ドライバー(五〇代)が毎日パソコンに入力してきた記録によると、二〇年七月の一日の平均は一一六個。それが二一年八月には一七八個になり、今年五月は二一四個に増えた。朝八時に出勤し、配り終えるのは夜一〇時ごろという毎日だ。しかし、報酬は一日一万八千円で変わらない。自己負担するガソリン代や車の維持費を抜くと手取りは月二二万円ほどにしかならない。 荷物が増え労働が過重になった分は働く者に還元されず、すべて運送会社とその上にいるアマゾンが吸い上げてしまうのである。ひところ盛んに言われた「働き方改革」なるものの正体がここに露呈していると思う。労働者を個人事業主へと「改革」してしまえば、各自の裁量でやっているという建前だから、企業が「働かせ方」に文句を言われる筋合いはない、というのだ。だが、ごまかされてはならない。実態は労働者そのものではないか。
ジョブ型労働運動への展望も
労組結成を呼びかけた男性は、以前はヤマト運輸や日本郵便の委託ドライバーとして働いていた。ここから覗えるのは、こうした物流業の労働者は流動性があるということだ。労働条件が酷いから一つところに長くいたくないということだが、それは企業の枠にとらわれないということでもある。企業別に分断された状態を乗り越える可能性があるのだ。事実、横田さんのその後の取材記事によっても、宅配労働者同士は契約企業が違っても仲の良い場合が多く、地域の情報を交換し合うという。 契約関係の違い(雇用であろうと委託であろうと)や契約先企業の違いを超えて、団結し、本当のジョブ型労働運動へ。そうした展望にもつながるニュースだ。 ![]()
by suiryutei
| 2022-07-01 08:18
| ニュース・評論
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||