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昨日の午後NHKBSで放映された『ひまわり』を酔流亭はたしか1972年、高校三年生のとき映画館で観ている。このごろ映画について何か書こうとすると、こんなふうに、半世紀くらい前に観た作品をまたBS放映で視た・・と書き出すことが多い。半世紀前の17歳前後が、わが人生において映画を集中的に観た時期だったものだから。 さて1970年制作のこの映画が日本に初公開されたのは同年9月だった。そのころロードショーの入場料は500円である。酔流亭は二年おくれて新宿の名画座で観たので、他の何かもう一本と二本立てで150円か200円くらいだったと思う。学生食堂のランチが130円くらいで食べられた時代だ。 そのときは、映画の序盤、ソフィア・ローレン扮するジョヴァンナとマルチェロ・マストロヤンニのアントニオが恋に落ちて結婚し、アントニオ出征までの12日間の日々がことに印象に残った。このニ大スターと、メガホンをとる巨匠ビットリオ・デ・シーカの呼吸がいかにもぴったりという感じであった。新婚の翌朝、朝食にアントニオが卵をたっぷり使ってオムレツを焼く。その卵の数が24個だったというのは、昨日のTV放映で確認できた(アントニオが卵の数を言う台詞がある)。 第二次世界大戦のときである。別れがたい二人は、アントニオが頭がおかしくなったという狂言を仕組んで出征の日を延ばそうとするのだが、それが仮病とばれて、アントニオは懲罰として一番過酷なソビエト戦線に送られてしまう。 そうして厳寒のなかイタリア軍は敗走、雪中で行倒れになったアントニオは村の娘に命を救われる。 死を必至と観念し、記憶も薄れかけていたアントニオは、戦争が終わっても村にとどまり、その娘と暮らすようになる。故国イタリアでは彼はもう死んだにちがいないと扱われるけれども、ジョヴァンナだけはそれを信じない。戦後何年かたって、わずかな手がかりをたよりにソ連を訪問し、アントニオが暮らす村に行き着く。しかし、アントニオは、彼を救った娘とのあいだに女の子をもうけていた。 かねてから評価の高い作品である。同時に、今日また光があてられているのは、アントニオが行き倒れ、戦後も住み着く土地はウクライナであるからだ。映画の題は、そのウクライナの大地いっぱいに咲くひまわりの花からとられている。ただ、映画の中にソビエトとかロシアという言葉は出てくる一方、ウクライナという地名(国名)はまったく出てこない。まるで存在しないかのように。アントニオと暮らすようになる娘を演じた女優さん(リュドミラ・サベーリエア)もロシア人であるようだ。 このあたり、ロシアとウクライナの微妙な関係というものを思う。スラヴは一つという、いわゆる汎スラヴ主義は、西欧あるいはオスマン帝国からの圧迫に抗するかぎりにおいては積極的意味があったろう。しかしそれは、そこにおける盟主はロシアだとする大ロシア民族主義という厄介な問題を孕むのである。なおリュドミラ・サベーリエアという可憐な女優さんは『ひまわり』より少し前に作られたソ連映画の大作『戦争と平和』でもヒロインを演じて、酔流亭の記憶に残っている。 ジョヴァンナとアントニオが再開を果たす鉄道の駅では、原発を思わせる巨大な煙突が近くに立っていて白煙を吹いているのでドキッとした。しかし視たあとネットで調べたら、あれは原発ではなく火力発電所とのことだ。そんなことも含めて色々なことを考えさせる映画である。
by suiryutei
| 2022-08-12 05:15
| 映画・TV
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