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朝日新聞朝刊で連載されていた多和田葉子さんの小説『白鶴亮翅』(<はっかくりょうし>と読むそうだ)は、終わり方がなんだか唐突な気がする。この作品に限らず、新聞連載小説というのは、登場人物にようやく馴染んできて、さあこれから話がどう動きだしていくのだろう、と思っているところで終わってしまうことがある。これは作品のせいというより、新聞連載というものに対するこちらの向き合い方が半端なせいだろうか。本の扉を開いて中に入っていくというのではなくて、他の記事の合間に、つい読み流していってしまうから。 ただ、新聞連載小説は、終了後に作者の自作についてのコメントが付く場合が多いから、それがこちらの喪失感めいたものにいくらかは補いをつけてくれる。多和田さんの『白鶴亮翅』に対するコメントが昨日の朝刊に載った。 多和田さんは早稲田の学生だったころ読んだ『罪と罰』に出てくる金貸しのアリョーナ・イワーノヴナを老婆と思っていたが(作品にもそう書いてあるし)、数年前に読み返してみて、まだ60歳前後と知って驚いた。そこでコメントから直接引けば 「60歳という若さで老婆として消されてしまうのではたまらない。そこでこのアリョーナさんにわたしの小説に登場してもらい、ロージャ・ラスコーリニフに殺されないように太極拳を習ってもらった。ただし舞台はロシアではなく、今日のベルリンだ。」 ははーん、そういうことでしたか。連載されていたとき怠惰な読者だった(ときには読むのを忘れた)酔流亭は今ごろそう思う。 ![]() ところで多和田さんのこのコメントに<国立駅前の文房具店>というのが出てくる。ドイツ在住の多和田さんは帰国するたびそこで緑色のチューブに入ったヤマト糊を買うとのことだ。店名は明かされていないが、駅前なら〔金文堂〕だろうね。いまウィキペディアに当たってみたら、多和田さんは国立で育ったのだという。高校はお隣の都立立川高校を卒業された。 酔流亭は国立からは立川と反対側の隣町である国分寺市で育ち、高校は国立市内の学校(桐朋)だったから、通学の途中で〔金文堂〕をときどき利用した。1951年創業の老舗である。 〔金文堂〕のすぐ近くの〔増田書店〕では、水島朝穂さん(早大法学部教授)は都立国立高校の生徒だったときプレハーノフ『歴史における個人の役割』を買って感銘を受けたそうだ。彼の著作の何かで読んだ記憶がある。水島さんは酔流亭より一学年上。1970年代初めの高校生たちの雰囲気を覗わせるエピソードであろうか。多和田さんは水島さんや酔流亭よりずっと若いが、前出『罪と罰』のアリョーナ・イワーノヴナの年齢には達したようだから、なるほど「老婆として消されてしまうのではたまらない」だろう。いや、女性の年齢を話題にするのはやめよう。 高校時代の夏休みの終わり近くのことを、昨日の朝はすこし想い出した。晩夏にツクツクホーシが鳴いている。 ※水島朝穂さんとプレハーノフ『歴史における個人の役割』については、この過去記事に。
by suiryutei
| 2022-08-27 08:00
| 文学・書評
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Comments(2)
![]()
おはようございます 多和田さんの新聞連載小説読んでいましたが確かに唐突な終わり方でしたね。
国立には父方の祖父の弟さんが住んでいたので父と訪ねたことがあります。大学友人で住んでいる人や一橋大学に行った高校の同級生も。国分寺はかつて勤務先の社長宅に招かれたことあり訪れ、立川駅は仕事で同僚に同伴し福生に行く時に利用しました。 サザエさんの波平さんみたいな話ですか。今の50代60代70代はかつてとはかなり違いますね。
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星の王子様さん、コメントありがとうございます。
多和田さんの小説、東欧の民族問題に触れるところがあったからなあ、というのは勘ぐり過ぎでしょうが・・・。 国立や国分寺はいい街でしょう。水が美味しいんですよ。全体に多摩地方は湧き水が豊富です。金文堂や増田書店の近くにある喫茶ロージナ茶房は山口瞳の行きつけでした。
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