新人事制度 大阪での報告①~③
記事ランキング
最新の記事
タグ
労働(124)
最新のコメント
カテゴリ
最新のトラックバック
以前の記事
2025年 04月 2025年 03月 2025年 02月 2025年 01月 2024年 12月 2024年 11月 2024年 10月 2024年 09月 2024年 08月 2024年 07月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
これも高校時代の恩師である綿引弘先生から紹介していただいた本。 ![]() 著者の井上久士氏は同じ高校の先輩(面識はないが4学年上だ)にあたる。だから、やはり綿引先生の教え子だ。19日更新記事での笠原十九司『通州事件』に続いて綿引先生の書評を紹介します。 平頂山とは、日本の対中国侵略戦争における住民虐殺の出発点と言われる。約3000人の村民の多くが犠牲になった。90年前、1932年9月16日に起きた。目次の下に綿引先生の文章が続きます。 目 次 平頂山事件を考えるーー日本の侵略戦争の闇 序章 平頂山事件の闇 1.撫順からの帰国者でも知らなかった平頂山事件 2.被害者であることを隠して生きてきた王質梅さん 3.消えた歴史資料 第一章 撫順炭鉱襲撃事件 1.撫順炭鉱と満鉄 2.満洲事変と反満抗日部隊 3.撫順炭鉱襲撃事件 第二章 平頂山住民虐殺事件 I.決断 2.出動 3.出撃 4.決行 5.虐殺の後 6.善後処置 7.平頂山と数の問題 第三章 川上隊長不在説と井上神話 1.川上精一守備隊長は虐殺の日、撫順にいなかったのか 2.くずれる川上不在説 3.報道から透けて見える虐殺 4.戦前からあった井上専断説 5.「井上神話」と平頂山事件の語られ方 第四章 エドワードーハンターの平頂山事件報道とその影響 I.平頂山事件の伝えられ方 2.エドワードーハンターとは 3.ハンターの平頂山取材 4.ハンターの「満洲」脱出 5。ハンターの記事の反響 第五章 平頂山事件隠蔽の構造 1 明るみに出た平頂山事件 2.ハンター記事の衝撃と中国の追及 3.事実無根、「皇軍の名誉を毀損」と抗議した日本 4.自衛措置と強弁することに 第六章 瀋陽裁判と平頂山事件 I.東京裁判で事実認定された平頂山事件 2.瀋陽裁判と責任の所在 第七章 平頂山事件と「歴史戦」 I.「歴史戦」とは 2.「歴史戦」では平頂山事件をどう描くか 3.歴史研究と平頂山事件 終章 戦後補償裁判と現在 1.中国の変化と平頂山事件 2.戦後補償裁判 おわりに 以下、綿引先生の文章。 まず筆者がこの本を書こうとしたきっかけが、今年が事件90周年であり、日中国交快復50周年に当たることとロシアによるウクライナ侵攻がウクライナのロシア系住民を守るためとしていることが満蒙の日本人を守るためとして侵略を正当化した戦前の軍国日本の暴挙と重なってみえたことからであると述べている。 戦争で犠牲になるのは民衆であり、平頂山事件はその最たるものであった。その恐るべき事件が徹底的に隠蔽され続けてきたこと、この事件の真実の究明がなされることは、2度とこのような事件を起こさないために絶対に必要であるという強い使命感が本書からひしひしと感じられた。 次に驚くのは当時の関東軍・撫順炭鉱の経営陣・日本政府が行った徹底した隠蔽工作である。そのため戦後日本に帰還した撫順在住の日本人ですら事実を全く知らなかった。 筆者は残された僅かな手がかりを丹念に掘り起こし、当時の関東軍の動向、地元新聞の記事を読み込むことにより、真相に迫っている。まるで推理小説を読むように事件の全貌が明らかになってくるその迫力と読む者を引きつける叙述力に圧倒される思いであった。 虐殺を指導した最高責任者川上清一守備隊長をかくまい、その部下の特異な性格の持ち主井上清水一中尉の責任であるとされたが、その嘘の解明は鮮やかである。こうしておぞましい大虐殺事件が、脱出した住民の証言も交え、写真・地図入りで、まるで映画を視ているように再現されるのである。 事件を初めて世界に知らしめたアメリカの記者エドワード・ハンターの報道に関しては、逐一彼の行動を監視していた当時の軍関係者の記録を掘り起こし、アメリカに飛んで資料を探しハンターの子孫にインタビューを試みて明らかにしている。 筆者は事件の犠牲者が起こし最高裁まで10年にわたって争われた日本政府への賠償裁判を一貫して支援し続けたことにも敬意を表したい。 大変拙い感想であるが、これを機に是非井上氏の「平頂山事件を考える」を読んで頂ければ幸いである。
綿引弘先生のことはこのブログでも何度か書いてきた。たとえば 小説家の赤川次郎さんが在校中、彼のクラス担任だった。赤川さんはエッセイの中で先生のことを書いているので、赤川ファンにはご存じの人が少なくないだろう。NHK教育TVの通信講座〔世界史〕で長年講師を務められ、著書は何冊もあるから、それでご存じの人もいると思う。赤川さんは我が母校(桐朋高校)の20期生、酔流亭は27期である。 NHK教育TVでの先生の講義も何度か視たことがある。先生は教室ではたまに駄洒落を飛ばしてご自身ではにかまれることもあったが、TVではそれはなさらなかった。
by suiryutei
| 2022-09-27 08:10
| 文学・書評
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||