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朝6時過ぎ、散歩に出た。西に向かって歩いていると空に真ん丸の月! 三日前が十三夜だったから、満月は昨夜である。その月が沈んでいくちょっと前だ。いい時間に外に出た。 その満月だった昨夜は、月を見るよりTVの録画を視ていた。朝放送されたNHKEテレ『新日曜美術館』が朝倉 摂を特集したもの。 美術のことなんか全くの門外漢である酔流亭だ。TV画面を通じてさえ、朝倉 摂の仕事(画、舞台美術)を視るのはこれが初めてである。番組のゲストは女優の渡辺えりで、この人は酔流亭と誕生日が同じ(1955年1月5日)なので何となく親近感を持っているのだが、「労働者階級」という言葉が彼女の口から自然に出るような、朝倉 摂の若いころの画を視た。 朝倉 摂は60年安保反対運動の渦中にいたこと、1959年にウィーンで開催された青年学生平和友好祭に参加してアメリカの左翼黒人歌手ポール・ロブソンとの出会いがあったことなども番組はサラリとながら触れていた。 録画は視ればたいてい消してしまう。しかし、この番組は消さずに残しておこうと思う。 そのあとウィキペディアで朝倉 摂を検索して知ったのだが、声優の大塚周夫は彼女の従弟だ。大塚周夫といえばリチャード・ウィドマークの吹き替えでも知られる。しかも彼は、割り当てられてウィドマークの吹き替えをやったのではなく、ウィドマークの凄みのある芝居に惹かれて彼の出演する映画をくり返し観、日本で洋画のTV吹き替え放送が始まると「リチャード・ウィドマークの吹き替えをやらせてくれ」と自分からTV局に売り込んで回ったのだという。 そうして実現したのがウィドマーク主演の『襲われた幌馬車』(1956年公開、日本でのTV放映初回は1963年)における吹き替えで、以来ウィドマークの吹き替えは大塚周夫ということになった。 リチャード・ウィドマークは酔流亭も好きな俳優だ。『襲われた幌馬車』についても【A・Z通信】(【いてんぜ通信】の前身)第39号(2020年9月1日発行)に寄稿した文章で触れたことがある。 酔流亭はこのごろ映画はNHKBSプレミアムの平日昼間の放映で視ており、上の『襲われた幌馬車』もそうであった。この時間帯は字幕スーパーだが、大塚周夫吹き替えによるウィドマークを視たくなった。たとえば『刑事マディガン』(1967年)なんか。 朝倉 摂は2014年没。今年が生誕100年である。大塚周夫は2015年に亡くなっている。 なお、朝倉 摂の仕事をみるのはTV画面を通じてさえ初めてと書いた。しかし、彼女の名前だけは前から知っていたのは、1964年に志賀義雄や中野重治といった人たちが日本共産党から除名されたとき、党のそうした組織運営に抗議声明を出した12人の文化人党員の中に彼女もいたからである。この12人は、国分一太郎や丸木夫妻や佐多稲子、野間宏、佐藤忠良などそうそうたる顔ぶれ。しかし、こういう連名はあいうえお順に名前が並ぶから朝倉 摂が筆頭に来る。それで名前は早くから知った。
by suiryutei
| 2022-10-11 08:54
| 映画・TV
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