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10年ほど前にKさんに頂いた本である。文庫版で全5冊をまるごとくださった。その2冊目をもうじき読了する。叙述はノモンハン事件にさしかかった。 Kさんとは、昨日の更新記事に出てくるKさんとは別の方だ。昨日のKさんは職場のかつての同僚で酔流亭より若い方だが、本をくださったKさんは1930年生まれ。3年前に亡くなった。2人の兄を戦争で亡くし、日本がどうしてあのような戦争への道を突き進んだのかを生涯かけて追究されていた。 しかし、寄贈された10年前には、正直に言うと、酔流亭にはこの作品をいくらか軽んじるところがあった。著者の三好徹(1931-2021)は推理小説やスパイ小説などを書いてきた人である。作品は週刊『ヤングジャンプ』に連載されたものだ(1982~1986)。同誌は漫画雑誌。そこで、読み物として面白くても史実にどこまで厳密であろうかという思いがいささかあった。ただ、大岡昇平がこの作品を褒めているのを彼の晩年の著作のどこかで読んだ覚えはあり、それで気になってはいた。 そんなわけで本棚に積読(つんどく)状態になっていたのを、この秋、手を伸ばしてみる気になったのは『平頂山事件を考える』という本を夏が終わるころ読んだから。 同事件は1932年に満州国で起きた、日本軍による中国住民虐殺事件だ。ああいう事件を起こした大日本帝国がその後さらに何をやっていったか、改めて勉強しなければならないと思った。『興亡と夢』は2.26事件が起きた1936年から筆を起こし、敗戦後の日本に君臨したマッカーサーが解任される1951年で筆を擱く。 さて読み始めると予想した通り面白いだけでなく、知らなかったことがたくさん書いてある。著者は本職の歴史家ではないかわり、武器は直木賞作家としての筆力だ(1967年下半期『聖少女』で野坂昭如と同時受賞)。創作家が歴史叙述に手を染めるときの危険は、旺盛な想像力がつい歴史離れを起こしかねないことだろうが、いま2冊目まで読み進めてきたかぎりでは、著者には抑制がよく働いているようである。冬が来るまでには全巻読了したい。
by suiryutei
| 2022-10-28 09:48
| 文学・書評
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