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8月の末に腸捻転が再発した。 このときは入院を覚悟した。10日間くらいは病院暮らしになるとして、そのあいだ病院のベッドで何を読むか。数年前Kさんから頂いて積読(つんどく)になっていた『興亡と夢』(三好徹著)が文庫版で全5冊だからちょうどいいかと思った。 それで、病院に行く前にこの全5冊を、酔流亭はそのまま入院してしまうとしても連れ合いが着替えなどを取りに戻るとき一緒に持ってきてもらえるよう机の上に揃えておいた。 幸い、名医による内視鏡での整復治療一発で我が腸は元に戻った。入院の事なきをえたのである。 それでまた読み始めるのが延びてしまって、1冊目を開いたのは10月になってからだ。 そうして一昨日、読了した。上に貼り付けた10月28日更新記事にも「冬が来るまでに読了したい」と書いておいたので、有言実行できて、まずはよかった。 2.26事件が起きた1936年から起筆して、1951年にマッカーサーが連合国軍最高司令官を解任されるまで。小説家の筆は、読み手をぐいぐい引っ張っていく。副題が「戦火の昭和史」となっているのだから戦史の記述に作者の力が入るのは自然だが、そのぶん戦後憲法の成立過程についてはやや筆が粗い。鈴木安蔵ら民間の憲法研究会にはまったく触れていないし。 触れていないといえば、天皇のいわゆる「沖縄メッセージ」(1947年、昭和天皇はアメリカによる沖縄軍事占領の長期化を望むメッセージをマッカーサーに送った。沖縄をいわば「差し出した」のだ)についてもそうだ。 作者も書き上げてからそのあたりは感じたらしく、<あとがき>にこうある。 かえりみて、書き洩らしたことも多かった。ことに戦後についてその思いが深い。しかし戦火の燃えはじめた時期から終わるまでは、わたしなりに力をつくしたと自負している。 (第5巻374ページ) 天皇の戦争責任を直接論及するのは避けた感じだが、読み手はそれを考えざるをえない。それから憲法9条の発案は幣原喜重郎であったと述べているのは、作品が書かれたのが40年も前(1982年~86年に週刊『ヤングジャンプ』に連載)だったのを思うと卓見だったのではなかろうか。当時は歴史学者の間でも幣原喜重郎説は少数であったろうから。憲法9条は幣原喜重郎が発案したとする説が有力になってきたのは、笠原十九司氏の近年の研究によるところが大きいと聞いている。 世界史の中の日本という視点があるのもいい点だ。第二次世界大戦勃発前のヨーロッパ情勢についてなど酔流亭には勉強になった。 この夏、政治学者・豊永郁子さんのウクライナ情勢についての朝日新聞寄稿(8月12日朝刊)が酔流亭の周りでもちょっと話題になった。第二次大戦に際してのパリとプラハの対独無血開城に彼女が肯定的であったことには酔流亭も考えさせられた。パリの場合についての思いの一端は10月18日更新記事に少し書いてみたが、プラハのことは、そもそも経過を知らない。 ところが『興亡と夢』の第2冊目にプラハがたどった運命が触れてある。当たり前のことだが、戦争になったらどうするかではなく、戦争にならない国と国との関係を作ることが大事なのである。夏から秋に考えたことを晩秋の読書でいくらかは深められた気がする。 さて昨日の更新記事に書いたように、酔流亭は今夜は下記の講座に参加します。席にまだ空きがあるようですので、関心ある方は是非。 沖縄への自衛隊配備から50年 日・米の対中国軍事戦略と沖縄、尖閣・『台湾有事』 講師/ 伊波洋一(参議院議員 会派 沖縄の風 ) 日時/ 2022年11月16日(水) 18:45開始 21:00終了予定 会場/ 本郷文化フォーラムホール 東京都文京区本郷3の29の10飯島ビル1F 地図/ http://www.hows.jpn.org/HOWSadress.pdf 最寄り駅/ 地下鉄丸の内線・大江戸線 本郷三丁目駅 受講料/ 1回1500円 ( 学生1000円) 申込み/ TEL 080-9816-3450 メール hows@dream.ocn.ne.jp
by suiryutei
| 2022-11-16 07:53
| 文学・書評
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