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東京新聞の昨日の朝刊国際面の記事である。 ウクライナで1932年から翌年にかけて大飢饉が起き、数百万人と言われる犠牲者が出た。それはスターリン指導下のロシアによるウクライナ人ジェノサイト(大量虐殺)だと認めるよう、ウクライナ政府は国際社会に呼びかけているというのだ。ロシアによる軍事侵攻によって多くの犠牲者が出ている今日、それは耳に入りやすい言説ではある。しかし、正確な歴史認識であろうか。 もとより酔流亭は東欧の歴史に詳しいわけではない。専門の歴史家の研究をわずかにかじるのみである。そうやって知りえた限りでは、あの時期(1932~33年)ウクライナのみならず当時ソビエト連邦を構成していた国々で飢饉による多くの犠牲者が出たということ、これは歴史家たちが一致して認定していることだ。重工業に偏したソ連の農業政策の無理ないし誤りがその原因にあったことでも歴史家たちは一致している。だが、農業政策の無理および誤りによって犠牲が出たことと、特定の民族を標的にしてジェノサイト(大量虐殺)が行なわれたということとは、同じではない。いや全然ちがう。 歴史家の塩川伸明氏(東大名誉教授)が述べることを引用しよう。 ・・この飢饉はペレストロイカ以前にはほとんど知られていなかったが、ゴルバチョフ期に多くの歴史家によって注目されて、精力的な探求の対象となった。当時はスターリン時代の諸民族共通の悲劇として、ロシアの歴史家とウクライナの歴史家が協力して探求を進めていたが、ユシチェンコ期にはウクライナ人を標的とした民族的悲劇と描かれるようになった。実際には、飢饉の犠牲者はウクライナ人だけではなく,多くのロシア人、カザフ人、ベラルーシ人などを含んでおり、ウクライナ人だけを標的とした民族的ジェノサイドとする見方には無理があるという見解が欧米の研究者の間でも優勢である 。 (塩川伸明『ウクライナ戦争・再論』。同氏のHPより) 文中、ゴルバチョフという人名は説明の必要ないですね。ユシチェンコという人は2005年から2010年までウクライナの大統領を務めた人。 念のため断っておけば、塩川伸明氏は今年2月に始まったロシアによる軍事侵攻にははっきり反対している。「モスクワのプロパガンダに踊らされている」ような人ではない。大飢饉については、塩川氏のこの叙述が、目にした限り妥当であるように酔流亭には思われる。 なお、上にリンクした塩川氏の論考『ウクライナ戦争・再論』は、事態を考える上で酔流亭には参考になった。夏に【いてんぜ通信】に寄せた文章でも同論考を参照させてもらった。あのときはアゾフ大隊についてのことだった。それにしても、ロシアの軍事侵攻はちゃんと批判されなければならないと酔流亭も思うが、アゾフ大隊の性格にしても大飢饉の問題にしてもロシア非難に乗じてデタラメな言説が飛び交っていないか。
by suiryutei
| 2022-11-28 05:43
| ニュース・評論
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Comments(2)
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牧子嘉丸
at 2022-11-28 16:59
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こんにちわ。お元気ですか。
このホロモドールを扱ったものに「赤い闇ースターリンの冷たい大地で」という衝撃的な映画があります。 G・オーウェルの「動物農場」の誕生秘話もからめたサスペンスフルな作品で、実話を基にしたものだけあってリアリテイーがあります。今日のウクライナの悲劇を予測した映画でした。
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by
suiryutei at 2022-11-28 20:58
牧子さん、コメントありがとうございます。
それは観なければならない映画ですね。つい最近『独ソ戦』(岩波新書)という本を再読しました。前に読んだのは去年の初めで、まさかこんな戦争が起きるとは思っていなかったときでした。独ソ戦でもウクライナが壮絶な戦場になっていたのに、まったくやりきれない思いがします。
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