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労働者文学会HPのコラムを書く順番がまわってきた。年内いっぱい、同HPの<入口>に掲載されることになる。 精神の飽くなき運動 ―秋沢会員の丸山健二文学賞受賞作品に寄せてー
2022年が暮れていく。労働者文学会にとって今年の快事は、会員の秋沢陽吉さんが第六回丸山健二文学賞を受賞されたことだろう。その受賞作品『流謫の行路』を一読、叙述の迫力に圧倒された。男は重い病におかされ、経済的にも窮迫している。その彼の心象風景がくりかえし綴られ、止むことがない。ふと思ったのは、画布に向かって絵筆をいつまでも振るい続けている画家の姿だ。たとえばバルザックの短編『知られざる傑作』に登場する老フレンホーフェルの如き。もっともフレンホーフェルは裕福な貴族だが。 画の上に飽くことなく絵具が塗られていくから、傍から見ると画の形象は、もうよくわからなくなっている。しかし、形象の奥にあるものに向き合ってやまない画家のエネルギーそのものに圧倒されるのである。彼は〝絶対“の高みを追求する。しかし完成された絶対などは存在しないから、彼は絵筆を永久に止めることはできないのだ。秋沢さんが目指す真文学もそうしたものであるにちがいない。こうした作品にはもっともらしい筋立てなどはおそらくどうでもいいのである。 老画家を精神に異常をきたした者とすることでバルザックは『知られざる傑作』をこぎれいにまとめている。そうしてあの短編はよく知られた傑作となった。同時にそれは俗化でもある。しかし、『流謫の行路』は、秋沢さんの精神の運動は、そのようにまとめられることを拒否するだろう。その終わることのない営為に私たちも倣いたいと思う。 ![]()
by suiryutei
| 2022-12-17 05:04
| 文学・書評
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