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今年になって最初に読んだ小説『孤篷のひと』(葉室麟)の主人公は小堀遠州であった。遠州は茶人であったから当時(豊臣から徳川へと政権が替わる頃)の茶会の模様が描かれている。 茶会といえば、こんな本が本棚にあったな、と思い出したのが、井伏鱒二晩年の作品『鞆ノ津茶会記』である。 いま奥付を見ると1986年3月10日第一刷印刷、15日発行となっている。出たばかりのとき買ったのである。たしか八重洲ブックセンターにおいてであった。そのころ酔流亭は東京中央郵便局で働いていた。同郵便局は東京駅の丸の内南口のすぐ前にあったから、東京駅の改札を抜けて反対側の八重洲南口に出るとブックセンターは目の前であった。泊まり勤務が明けたときなどよく行ったものだ。 1898年に生まれた井伏鱒二は1993年まで生きたから、『鞆ノ津茶会記』が書かれたのは晩年と言っていい。晩年の作としてよく知られる『荻久保風土記』(1982年)より少し後になる。茶会記といい風土記といい、作品名からも井伏らしい独特の雰囲気が立ちのぼってくるような気がする。 (中央、車椅子に座っているのが井伏鱒二。定宿だった甲府の常盤ホテルの庭で撮影されたもののよう。安岡章太郎なんかもいる) その茶会の出席者には安国寺恵瓊のような実在した人物も出てくるが、作者は「多く架空の存在である」と断っている。村上なにがしなんてのは、瀬戸内で暴れた村上水軍の頭目たちのうち誰かを想定したのであろう。茶会といっても、地方の地侍によるそれは、実態は酒盛りであったように思われる。 「初め、かち栗に濃茶。足付膳に置いた土器の皿に、いか、のり。茶碗酒(次から次に幾らでも注ぐ)。新しい瀬戸の大皿に鯛の刺身。・・」 こんな叙述に涎が垂れそうになる。垂涎の思い、とは、このことか。茶碗酒を「次から次に」いくらでもおかわりできるなんて、じつにいいな。 時代が時代(豊臣政権末期)だから、秀吉の朝鮮侵攻がいかに酷い侵略戦争であったかが、茶会参加者から遠慮がちに、しかし酔いにまかせてつい本音をもらすといったふうに、語られたりする。
by suiryutei
| 2023-01-24 08:08
| 文学・書評
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