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大岡昇平(1909ー1989)は、先の大戦に召集されてフィリピン戦線で米軍の捕虜となるという特異な経歴を持つ小説家である。その体験から『俘虜記』『野火』といった戦後を代表する作品が生まれた。しかし彼を戦争文学とだけ結びつけることはできない。他方で『花影』のような優れた風俗小説も書いたからである。スタンダールびいきらしく、恋愛する男女の心理描写は鮮やかであった。こういう言い方は大江健三郎氏みたいで、やや権威主義的だけれど、やはり「戦後文学の最高峰」と言うにふさわしい。 生前の大岡は、8月15日になると、新聞各紙からよく寄稿を求められたらしい。たしかに、その戦争体験および見識からして、この日に話を聞いてみたい知識人の筆頭であったろう。いま手元に20年前、1985年の敗戦記念日に朝日新聞に彼が寄せた文章がある。『悪魔の構図から目をさまそう』という題である。当時、酔流亭は職場の労組青年部の役員をやっていて、青年部の機関紙にこの文章を紹介した覚えがあるので、印象に残っているのである。終わりのところを引用する。 「・・・戦後40年たって、日本人はエコノミック・アニマルと言われ、中国、韓国、フィリピン、東南アジアに、企業が資本、技術輸出という別の形の収奪をなしとげている。今日のわれらの消費生活の豊かさは、それら収奪の上に築かれる、という同じ形が現れているのを、あの時意識しなかったように、今も意識しない。 戦後40年、靖国神社の公式参拝は実現し、英霊は鎮まるであろう。そこで再び国のために命を奉げる若者を創り出さなければならない。ヨーロッパや東南アジアの経済摩擦と公害輸出には、それらの国々の為政者や知識階級の抵抗がはじまっている。防衛費1パーセント枠を早くはずして、軍事的威嚇を加えよう。われらの核の傘なるアメリカとの摩擦だけを避ければよい。最も豊かで賢明なアメリカの同盟国となって、戦闘的平和のために貢献しようー戦後40年の悪夢の構図である。早く目をさまそう。ふたたび、みずからそれと知らない大東亜の加害者になるのはよそうではないか」。 文中、靖国公式参拝とあるのは、この年、中曽根総理が総理として初めて公式参拝したこと。これはこの年だけでとりやめになった。あと、一部を変えれば、ほとんど今日にそのままあてはまる文章ではないだろうか。
by suiryutei
| 2005-08-15 12:14
| 文学・書評
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