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入院中に添田直人さんが〔国分一太郎「教育」と「文学」研究会・紀要〕の第11号を送ってくださった。発行日付は3月21日。 添田さんは紀要の中心的な書き手の一人であって、この最新号にも豊田正子をめぐる力作を発表されている。去年12月に豊田正子記念フォーラムで行なった講演および今年1月綴り方理論研究会での報告をまとめたものだという。 同じ生活綴り方という言葉を使っても、戦中、国分一太郎らが山形で実践した生活綴り方教育と、東京の下町で恩師・大木顕一郎の下での豊田正子の「綴り方教室」とは繋がりはないし、中身も違う。添田さんはそのことは明示しつつ、豊田正子が好きでたまらないのである。批評性と対象への愛情とを兼ね備えた、優れた論考である。 「生活綴方は、・・・子どもが生活にかかわるものとして、自然と社会に働きかけ、働きかけられた事実を事実として大切にして、自分の言葉で考えさせ、そのときの心の中も書かせる。書かれた作品をめぐってみんなで話し合うのは、作品を教材にすることで、どんなことに喜び怒り悲しみ楽しいかを経験することができる。」 「生活綴方の教育方法には、それ以外に、もう一つ重要な教育的効果がある。書き手と読み手にとって、生きることの意欲と認識の変容をめざす機能がある。」 (9ページ) 添田さんの論考を読んでいて、先週初めにNHKBSで放映された『いまを生きる』(ピーター・ウィアー監督、1989年米)が頭をよぎった。ロビン・ウィリアムス演じるキーティング先生はアメリカの全寮制エリート高校に赴任すると、あれ日本の学校で言えば現代国語の授業になるんだろうねえ、詩についての授業で自分の言葉で表現すること・違った視角でものごとを見てみることを強調する。こんなふうに机上に立ってみると、同じものでも普段と違って見える。 ところが、批判精神が養われることが生徒を反抗的にすると懼れる校長はキーティングを危険視し、やがて起きた生徒の自殺(原因は、演劇を志す生徒を親が許さなかった)をキーティングにそそのかされたと捻じ曲げて彼を追放してしまう。 (ラストシーン。キーティングが学校を追われるとき、クラスの約半数が校長の制止にもかかわらず机の上に立って彼への連帯を表明する) 戦時下日本の治安警察も国分一太郎らの実践に反体制を嗅ぎつけ、弾圧した。いっぽう、大木顕一郎と豊田正子は弾圧は受けなかった。むしろ正子は官費で中国旅行を体験する。それが侵略戦争への動員策であったのは言うまでもない。のちに正子はそれに載せられてしまったことに自己の戦争責任を感じて深く悔いるのである。 添田さんの論考は豊田正子のそんな戦後についても説得力のある分析を行なっている。 紀要は、後ろから開くと縦書きのページになっていて、冒頭には国分一太郎が1984年に大阪市教組の教研集会で行なった講演を収録している。
by suiryutei
| 2023-03-30 07:56
| 文学・書評
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