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一昨日(4日)我孫子市内で行なわれた水島朝穂さんの講演会(憲法を考える市民の集い)に参加したことを昨日の更新記事に書いた。 その中で、当日参加者に配られた『日本国憲法9条と「敵基地攻撃能力」』という水島さんの最近の論説については、こう書いた。 <教えられるところの多い、優れた論考だと思う。酔流亭は一点だけ、かすかに疑問を感じた箇所があるが、それについては後日書きたい。> 日にちが経たないうちに、その「かすかな疑問」について書いておきたい。 まず水島さんのその論説をリンクしておきます。 こんなふうに抜き刷りしたのを参加者に配布してくれた。 酔流亭の「一点だけ」の「かすかに疑問を感じた箇所」というのは、目次に4項あるうちの <ⅲ 「敵基地攻撃能力」論に対する立法事実論からの検討> というところ。上に貼り付けた水島論考のPDFでは37ページから38ページ〔2.北朝鮮は脅威か〕という小見出し以下の部分にある 「小泉内閣は外交によって北朝鮮の『意図』を封じたのである。」 という記述だ(38ページ3段目~4段目)。 2002年に小泉・日本首相(当時)と朝鮮の金正日・国防委員長(当時)が行なった首脳会談で発せられた平壌宣言について述べているのである。 この平壌宣言の内容を抜粋して紹介しておけば、おおよそこうであろうか。 1、双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。 2、日本側は、過去の植民地支配によって朝鮮の人々に多大な損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛烈な反省と心からのお詫びを表明した。 3、双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないと確認した。 これを受けての朝鮮の公式文書『我が党の先軍政治(増補版)』(2006年)では、会談において金正日が「・・誰であっても我々を侵害しない限り我々は決して武力行使しないこと・・について明らかに」したと記述してあるのを、その後の安倍政権以降のタカ派路線に対する朝鮮の反発と比べながら、水島さんは、こちらが緊張を煽れば相手も対決路線で応じると説く。これはまったくその通りであり、必要なのは平和と友好を求める外交だ。酔流亭は水島さんの考えを強く支持する。 平壌宣言は、拉致問題によって残念ながら成果がかき消されてしまったような塩梅だが、高く評価されるべきだろう。 ただ、ひっかかるのは、「小泉内閣は外交によって北朝鮮の『意図』を封じたのである。」という書き方だ。これでは、朝鮮が(日本を侵略する)意図を持っていたけれども、小泉さんは外交によってその意図を封じ込めた、と読めてしまう。意図が存在しなければ「封じ込める」も何もないのだから。 だが、朝鮮にそんな意図があるのか、あったのか。あるわけはないというのは、水島さんご自身が<2.北朝鮮は脅威か>と読者に問いかけて、その説得力ある分析によって違うと答えているではないか(PDFの全文をぜひ読んでください)。 水島さんは改憲派の集会にも出かけていって護憲論を堂々と展開されてきた方である。ときには相手の土俵に上がって闘うことを恐れない。仲間内だけで固まって気勢を上げるより、ずっと困難で、貴重な営為だ。そういうとき、相手(改憲派)の前提に仮に立ったとしても軍拡ばかりが能ではないでしょう、という説得法を用いることもあろう。それは理解する。とはいえ、朝鮮問題については、朝鮮が日本を侵略することを心配するより、日本が過去朝鮮をいかに酷く侵略してきたか・今現在いかにひどいヘイトを行なっているかを銘記することは譲ってはならない一線ではなかろうか。 PDFを貼り付けた水島さんの論考が優れたものであり、多くの人に読んでほしいだけに、このことだけは書いておきたい。
by suiryutei
| 2023-05-06 09:01
| ニュース・評論
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