新人事制度 大阪での報告①~③
記事ランキング
最新の記事
タグ
労働(124)
最新のコメント
カテゴリ
最新のトラックバック
以前の記事
2025年 07月 2025年 06月 2025年 05月 2025年 04月 2025年 03月 2025年 02月 2025年 01月 2024年 12月 2024年 11月 2024年 10月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
新聞『思想運動』8月1日付(No.1091)の最終面(文化欄)に寄稿した文章を転写します。 7月に都内で開催された豊里友行さんの写真展についての感想。 ![]() 七月一四日から一七日まで本郷のHOWSホールで開催された「おきなわ」豊里友行写真展を私が覗いたのは、二日目にあたる一五日の午後だった。二時からのギャラリー・トークがちょうど始まるところだ。 ホールの正面と左右の壁に、選りすぐられた四六枚の写真が貼りだされている。ギャラリー・トークの時間(一時間)だけ並ぶ椅子がもう満席である。その時間帯だけでも三〇人ほどはいただろうか。トークのこの日のテーマは「この写真についてききたい」。会場からまず質問が出たのは、茶碗の写真についてである。国吉勇さんが一九九八年に真栄里壕で発見したものという。兵隊たちが使っていたのだろうか。 実際それは不思議な茶碗だ。抜き身の刀を振り上げる指揮官と、着剣した小銃を構えて前進しようとする二人の兵隊が描かれている。敵陣への捨て身の突撃を敢行する図であるらしい。ところが兵隊は笑顔で、その表情だけ見ると運動会の駈けっこみたいだ。沖縄戦に突入する前、戦意高揚をはかるべく、こんな図柄の茶碗が焼かれたのだろうか。 豊里友行さんは、沖縄独特の抑揚のある声で質問にていねいに答える。私が四八年前郵便局で働き出したとき、私より半年前に入局していた先輩が沖縄の出身で、泡盛の味も彼に教わった。彼もそういう抑揚だったから、豊里さんの話し方に私は懐かしいような気持ちになった。どれもが貴重な写真のうち、私にことに印象深かったのは、強制集団死の語り部であった老男性(故・金城重明さん)の正面を向いた粛然たる表情を撮った一枚である。茶碗に描かれた兵隊の表情との対比によるものだったかもしれない。 トークの時間も終わりに近くなって入場してきた女性は、進行役を務める実行委員の大館まゆみさんや加藤宣子さんと顔見知りだった。石川県の方で、この日は福島からの帰途に寄ったという。おそらく原発に反対する活動にも関わっているのだろう。大館さんや加藤さんとは辺野古で同じ宿に泊まり合わせて知り合ったとか。内灘闘争の話を聴かせてくれた。 一九五〇年代、石川県の内灘では米軍基地の撤去を、年月はかかったが実現させた。全国の米軍基地反対運動がそれに続いた。ところが、そうして列島から撤退した米軍事基地は沖縄へ集中していったのである。誇らしい闘いは、沖縄に対する加害者になったという面もあった、と。大事な話だと思う。写真展の期間中、こんな交流がいくつも生まれたにちがいない。 ![]()
by suiryutei
| 2023-08-02 07:57
| ニュース・評論
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||