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今朝、朝鮮が人工衛星を発射したが、失敗だったとのことである。 人工衛星を発射すると事前通告を受けているのに、それをミサイルだと言い立てて大騒ぎする禍々しさについては5月30日更新記事(『伝送便』誌6月号寄稿の転写)で述べたとおり。 さて先週NHKBSプレミアムで映画『ゴッドファーザー』が放映された。同映画は1972年Ⅰ、1974Ⅱ、1990年Ⅲと3作が公開されているが、この3作を3日間連続でやった。NHKとしては夏休みの特別サービスということであろうか。 第一作が日本公開された1972年は、酔流亭は高校三年生。ちょうど映画少年だった頃だから、よく憶えている。大変な評判であり、大ヒットした。ただし、酔流亭は観に行ってはいない。そのころ酔流亭少年が行くのは名画座が専門である。2本立てが150円~200円だった。ロードショーなら500円である。現在の2000円に比べたら安いが、半世紀以上前のこと。当時ロードショー料金に学割なんて利かなかったと記憶する。高校生には高嶺の花だ。 そのまま一作も観ず、半世紀が過ぎた。ニーノ・ロータ作曲の哀愁に満ちた主題曲は映画館に行かずとも、この半世紀あちこちで聴かされてきたが。 今回3作全てを視て、世評がそうであるように、二作目が一番出来がいいと、酔流亭も思った。 二代目のゴッドファーザーとなったマイケル・コルレオーネをアル・パチーノが演じる。1958年、マイケルは革命前のキューバの首都ハバナを訪ね、革命派のゲリラが政府軍兵士に追い詰められ「カストロ万歳!」と叫んで兵士を道連れに手榴弾で自爆死するのをたまたま街頭で目撃する。「革命が起きるかもしれない」と、マイケルのモデル(いるはず)となったマフィアのボス(ゴッドフアーザー)が本当にそう呟いたかどうかはわからない(映画では、そうつぶやく場面がある)けれども、アメリカの大資本がバチスタ政権(革命前のキューバ政権)を手なずけて腐敗させている一方、キューバ民衆が貧困にあえいでいたのが垣間見えた。アメリカ大資本のうち「汚れた」部分がイタリア移民系のマフィアだが、他の「堅気な」資本だってキューバを食い物にしていたのに変わりはない。マイケルの訪キューバが、そもそもハバナの賭博場をめぐる利権がらみである。 一作目ではマーロン・ブランドが演じた先代ヴィトー・コルレオーネは二作目ではロバート・デ・ニーロが扮した。マイケルの物語と並行して、先代がいかにゴッドファーザーに上り詰めて行ったかが時代を遡って描かれる。地元のマフィア同士の争いで父も兄も母も殺されたヴィトー少年が故郷のシチリア島から単身アメリカに渡ったのが1901年、9歳のときだった。 映画を視ている途中で気づいた。すると、ヴィトー・コルレオーネは1892年生まれだ。グラムシとほぼ同世代ではないか。 イタリア共産党の創立者の一人、というにとどまらず現代思想に大きな影響を及ぼしている思想家アントニオ・グラムシは1891年、サルデーニャ島に生まれた。村の小役人だった父はグラムシが幼少のとき政争に巻き込まれて、収賄の罪で5年も刑務所にいたから、少年グラムシも苦労した。 イタリアという国は、あの長靴みたいな恰好の半島と、それからサルデーニャとシチリアという二つの島によって主に構成されている。地図を写せば、こうだ。 実在のグラムシと違って、コルレオーネ家は架空の存在ながら、モデルとなった(映画に描かれたのと実際に似たような)一族、個人はいるはず。 イタリアの、半島以外の二つの島出身の同世代の二人が、辛酸を舐めた少年時代を過ごしてから、一人はムッソリーニのファシスト政権に投獄されながら獄中で独特の革命思想を紡ぎ、一人はニューヨークでマフィアのゴッドファーザーとなる。かつて映画少年であり、いまだに左翼の尻尾を引きずっている酔流亭にはこういうことが面白い。 なおカストロが1959年に成功させたキューバの革命は武装蜂起→権力奪取だから、グラムシの路線(陣地戦)とは違った展開を辿ったが、もしグラムシ(1937年没)が生きていてキューバ革命勝利の報を聞いたなら、この国際主義者はカストロとキューバ人民に最大の祝福を贈ったにちがいない。
by suiryutei
| 2023-08-24 08:05
| 映画・TV
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