新人事制度 大阪での報告①~③
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NHK朝ドラ『らんまん』も残すところ今週と来週のみ。モデルとなった植物学者・牧野富太郎は長寿だった(1862-1957)から、半年間のドラマの中でも時代はどんどん進んで、先週あたりからは主人公夫婦の頭にも白いものが目立ち始めた。 万年助手の主人公(演・神木隆之介)を経済的に支えるため、連れ合い(演・浜辺美波)は渋谷で料理屋を切り盛りしている。先週初めか先々週の放送回であったろうか、その料理屋に小林一三が客として来る場面があった。時代は日露戦争が終わったばかりの頃だ。 阪急東宝グループの創業者で宝塚歌劇団なんかも作った、あの小林一三(1873-1957)である。不動産業や私鉄経営のノウハウみたいなことを連れと話している。土地は、土地への課税がつらい所有者から捨て値で買い取れるというのである。 ドラマの展開とはべつに絡んではこない場面だが、酔流亭には妙に印象に残った。これは、コモン(共有地)の資本による巧妙な奪い取りではなかろうか。 江戸時代を通じて(それ以前から)農村や山村には領主の所有ではない共有地というものがあった。それは農民に属した。個別の農民ではなく、農民の集団である村に属した。明治になっても、地租改正条例(1873年=明治6年)によっても、領主課税の対象の外に置かれていた。ところが、それがやがて「民有地二種」として、地籍を承認されるのと引き換えに課税対象となっていくのである。農民は分割所有にしたりするが、現金収入が乏しいと税金を払えない。そこで、有力地主や資産家にむしろ頼み込んで土地の所有者になってもらおうとする。 そんなところに、小林一三のような資産家が現れて土地を買いますといえば、濡れ手に粟で土地は手に入る。ドラマの中でも「向こうから一升瓶を下げて頼んでくる」という台詞があった。 もともとは無課税の共有地を、まず私有地にして課税対象とし、税を逃れたい農民からタダ同然で捲き上げるという手法だ。マルクス主義地理経済学者のデビット・ハーベイがかねてより、またアナキストのデヴッド・クレーバーがその『負債論』で糾弾しているところの資本による国家を介した略奪である。 『らんまん』の主人公の生家は造り酒屋だから、ドラマ中盤では、酒税法の改悪によって酒造業が利益をむしり取られる模様が描かれていた。地生えの中小ブルジョアジーであるところの造り酒屋を搾り取る一方、東急東宝グループを率いた小林一三のような政府に近い大ブルジョアジーには蓄積の便宜が図られたということだ。 さて今週と来週、ドラマ最終盤はどう展開していくだろうか。先週まで長文の熱い手紙と植物標本を送りつけてくるだけで姿を現さない南方熊楠にもそろそろ登場してほしいところだ。そういえば熊楠が反対した神社合祀の問題は今週のドラマ展開に大きく関わってきそうだが、あれだってコモン(共有財)たる神社の森の奪い取りであろう。 ※関連して
by suiryutei
| 2023-09-18 08:12
| 映画・TV
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Comments(2)
![]() ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
鍵コメさん、ありがとうございます!
そうです、ウッカリしていました。いま直しました。
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