新人事制度 大阪での報告①~③
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9月26日に文京区民センターで開催された労働者・人民集会では伊波洋一参院議員が講演を行なった。 その要旨が新聞『思想運動』No.1094(11月1日付)の6~7面に掲載されている。文字起こしされた段階で2万7000字強あった講演を6000字ほどの要旨にまとめるにあたっては、じつは酔流亭もいくらかのお手伝いをしたので、その記事を今日と明日に分けて転写します。 ![]() 東京・文京区民センターで九月二十六日に開催された労働者・人民集会における伊波洋一・参院議員の講演要旨を報告する。伊波議員は高良鉄美・参院議員とともに会派<沖縄の風>を構成し、二〇一六年に当選以来参院の外交防衛委員会に属して平和のために奮闘している。なお伊波議員がまとめた立憲フォーラムブックレット『戦場にさせない——沖縄からの「台湾有事」』(頒価一〇〇円)が最近発行された。活用しよう。【編集部】 ![]()
さる九月四日に、沖縄県は最高裁で控訴棄却で敗訴しました。しかし、この裁判でいったのは行政不服審査請求と行政訴訟の訴訟手続きで国交相が正しいということです。具体的に大浦湾の軟弱地盤をどうするかとかいろんな問題はいっさい審議がされていません。 たとえば、辺野古はいま一五%の埋め立てがされていますが、これまでにかかったお金は四三〇〇億円。全部埋め立てて、飛行場も施設もつくって、その総額が国の当初見積もりで三五〇〇億円でした。もうそれを超えている。沖縄県は軟弱地盤の問題が出た過程で総額二兆五〇〇〇億円かかると提起しましたが、国は軟弱地盤対策を含めて九三〇〇億円としたわけです。でも一五%を埋め立てるのに四三〇〇億円使っていたら、さらにあと二兆四〇〇〇億くらいかかることになる。 そういうことも含めて、現実の問題が解決していない。飛行場というのは五〇〇億円でもできるんですよ。では何のためにやっているのか。何年かけてもできていない。米軍もそれをあてにしているわけでもない。まさに利権の構造になっているのです。莫大な工事の利権が、遺骨の混じった石まで掘り出す話になっている。ゼネコンとかいろんなところが共有している利権構造だけが生き延びているというのが今の状況です。 辺野古新基地をつくらせてはならないと思っていますし、わたしたちも辺野古で毎月第一土曜日に行なわれている辺野古大行動という座り込みに参加しています。
全国が軍事化される
沖縄ではまたミサイルの問題で、沖縄を戦場にさせてはならないという行動が大きく動いています。今日は安保三文書とは何かを中心に議論をしていきたい。安保三文書――国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画というのは戦争準備なんですよ。具体的には日本が二〇〇〇発の敵基地攻撃ミサイルを配備するという計画です。これまで年五兆円の防衛費を一〇兆円に倍増する、増える五兆円分を毎年、中国との戦争のため国内を整備することに使っていく。二〇一六年度から二〇二二年度、つまり二三年三月までの六年間、沖縄ではそのための前準備に南西諸島の軍事化がされてきて、完成したんです。その上で何を目指しているかというと、全国の軍事化です。安保三文書はもはや沖縄ではなく全国の基地問題なのです。この先二〇二三年度から二七年度まで五年間の防衛費四三兆円のうち九兆円が敵基地攻撃ミサイルに充てられます。最大の一五兆円を使って全国約三〇〇か所の自衛隊駐屯地、自衛隊施設を強靭化します。弾薬庫は現在約一四〇〇ありますが、あと一三〇くらい長距離ミサイル用の弾薬庫を追加でつくり、弾薬をしっかり装備する。およそ全国に二万三〇〇〇棟ある自衛隊の建物についてガスや放射能で攻撃されたときに防御する仕組みや耐震化をやる。そういう計画が安保三文書です。 すっぽり抜けているのは、戦争を避ける外交とか平和をつくること。いかに戦争するかだけなんです。「外交が大事だ」と書いてあるんですけど、それは「同盟国・同志国」との外交です。第二次安倍政権が「国家安全保障戦略」を初めて二〇一三年につくったときは日本の外交戦略は全世界との外交、つまり差別しない外交とあった。同盟国はアメリカしかないので、その言葉は一回だけ使われた。今回は「同盟国」は何回も使われる。「同志国」というのも何十回も使われていますね。自分たちの味方になりそうな国とは話をする。武器を援助するとか支援をしていく。でもそうでない国とは話をしない。二〇〇〇発のミサイルは、中国、朝鮮、ロシアに向けられる。「集団的自衛権行使」のためにも使う。集団的自衛権の行使は、日本が攻撃されていなくてもこちらが攻撃できるという理論です。憲法はこれを禁じているけど解釈改憲で確立してしまった。
第三国への攻撃で武力行使
日米がどんな役割をするのか。一九九七年のガイドラインには、米軍の役割として日本の自衛隊とともに戦う、武力を行使するということが明確に書かれていました。これが二〇一五年の新ガイドラインではすっぽりと抜けた。「米軍は、自衛隊を支援し及び補完するため」「作戦を実施する」とあり、みずから打撃力を使うとは言いません。自衛隊そのものが自分自身を守るんだということがより明確になった。同時に、そのときには隠されていた合意があった。米国でも日本でもない第三国が攻撃されたときにどうするのかということが合意されているんです。それを存立危機事態だとして「集団的自衛権を行使」して、武力の行使を伴う作戦を実施する。それが今回の安保三文書に書かれて、しっかりと埋め込まれているんです。 なぜかというと西太平洋では、もはや中国の方がアメリカより優位なんです。米露はINF条約(中距離核戦力全廃条約)によって射程五〇〇キロ~五五〇〇キロのミサイルをつくることを長いあいだ禁止されていたために、アメリカには中距離ミサイルがないんですよ。ところが中国は中距離ミサイルをたくさん作っている。だからアメリカの空母は有事になれば日本に寄れないし、グアムまでも寄れなくなっている。そういうなかで日本にミサイルを配備させて、初っ端で撃たせようという話なんです。
日中戦争がアメリカの狙い
二〇一〇年に中国の漁船が海上保安庁の巡視船にぶつかり、尖閣問題がクローズアップされます。当時、東京都知事だった石原慎太郎が金を募って尖閣を買うと言い出し、当時の民主党政権はそれでは困ると、民有だった尖閣三島を国が二〇一二年に買った。それが日中の亀裂のスタートになってしまいました。その年の年末の総選挙で政権交代して安倍政権が誕生。翌年二〇一三年九月、安倍氏はニューヨークで「集団的自衛権について憲法解釈を見直す」と言います。「日本がアメリカの安全保障の弱い環であってはならない」とも。これは南西諸島を軍事化するということなのです。 そして二〇一四年七月一日に「集団的自衛権の行使」はできるという閣議決定をします。二〇一五年七月十六日、「安保関連法案(戦争法案)」を衆院で通過させ、九月十九日に参院で強行可決して成立させ、日本は戦争をできる国になりました。安保三文書というのは、これが実体化されようとしているんです。それをさせてきたアメリカが狙っているのは中国と日本を戦わせること。そうできる道がほんとうにできあがってしまった。 戦争法は二〇一六年三月二十九日施行。そして二〇一六年~二二年度までの南西諸島への陸自ミサイル基地建設をスタートさせる。二〇一七年までの状況で、沖縄本島から以西、台湾までの所には、自衛隊の実働部隊の基地はなかったのが、陸自部隊が一四、空自部隊が五つ、南西諸島を中心に配備されました。二〇二三年三月に石垣駐屯地ができて、三月三十一日までにほぼ全部つくりあげたという状況です。二一年六月には、菅政権が「土地規制法」を成立させた。二二年一月、日米外務防衛閣僚会議2+2で「台湾有事」での日米共同作戦策定を合意した。そして二二年十二月十六日に、岸田政権が「安保三文書改定」を閣議決定したのが、いまにつながる流れですね。 (続く) ※『思想運動』のサイトはこちら
by suiryutei
| 2023-11-02 08:11
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