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去年6月に出た本だが、酔流亭はつい先週、地元の図書館で借りてきた。 刊行されたとき、販売元の文芸春秋社はこれを「日本核武装のすすめ」として売り出したようだ。本に先立って、全4章のうち1章の一部が、月刊誌『文芸春秋』の去年5月号にそのタイトル(「日本核武装のすすめ」)で掲載された。 それで、核武装に反対の人たちの中には、中身を読む前から拒絶反応を示した人もいたように思う。酔流亭だって、当時その気味はあった。 ところが、全編はほぼウクライナ問題を論じることに費やされて、そうして著者の言うことは概ねもっともだと、こんど読んでみてそう思った。問題の日本核武装のすすめにしても、著者が言いたいのはアメリカから自律しろということだ。NATOの東方拡大を進めることでロシアを挑発して戦争に引きずり込み、ウクライナと戦わせてウクライナ人とロシア人に血の流し合いをさせているアメリカ。こんな危なっかしい国について行っていいのかということである。 とはいえ、自律の手段が核武装というのは、やっぱり違う。そうではなく隣国との友好関係を、アメリカの意に逆らって作っていくことではなかろうか。トッドさんとしては、アメリカに逆らえるようになるためにも核くらい自前で持っておきなさいよというアドヴァイスである。しかし、核を持たない限りそれができないとは思わない。 それにしても、ほぼ真っ当なことを書いている本のタイトルが「第三次世界大戦はもう始まっている」だというのは、考えてみれば恐ろしいことである。 去年9月の東京新聞に載った斎藤貴男氏の書評が9割がた共感できるので、貼り付けておく。 9割がた共感と書いて1割は外したのは、最後の段落もおおむね賛成できるのに結びの一行の言い方がひっかかるからである。 本書の議論の大半に、評者は大いに共感できた。ただ一点だけ、だから日本は核を持つべきだとする提言には強い違和感がある。そんなことをしたところで、傀儡であることをむしろ誇っているかのごとき自民党政治が、米国の支配から「自律」などできるはずがない。ただ単に、中国に先制攻撃の口実を与えてしまうだけである。 <中国に・・口実を与えてしまう> こういう口吻は、こちらが隙を見せれば相手はただちにつけこんで攻めてくる(ミサイルを撃ってくる)ような関係を前提にしている。いわば冷戦の発想であろう。 けれども日本と中国とは1972年に日中友好条約が締結されて以来、冷戦ではなく友好親善の関係にあるはずだ。それが必ずしも実現されていない昨今の状況ではあるが、事態を打開し友好に努めようとするならば、こうした言葉遣いはふさわしくない。評者の斎藤氏が日本核武装に反対なのはいいとして、その対案として隣国との平和友好という発想に乏しいように思う。戦争をしたい政府はまず仮想敵国を作り、つぎにその国を悪一色に塗りつぶす。昔ながらの古典的手口だ。それに反対する人たちが半分がた相手の土俵に引きずり込まれてはならない。
by suiryutei
| 2023-11-30 08:10
| 文学・書評
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