夜明け前にヒグラシが鳴くのを聴く

おかしな夢を見た。

ボーリング場に行っている。10数人のグループである。

中にかつての職場の同僚の顔も見えるから、職場の親睦をはかるための企画らしい。

靴を履き替え、レーンも決まり、いざゲームを始めるとき

「ボーリングをやるの今日が初めてという人いますか？」

と、どういうわけか酔流亭がみんなに声をかける。30年以上も前、労組の役員をやっていたとき職場レクでボーリング大会があり、役員をやっていた手前その幹事役みたいなことをやらされたことがある。その体験が夢に反映したものか。

そして「ボーリングやるの初めて」という人が一人だけいた。

それが、どうしたことか今年3月に急逝した横田誠司さん（『伝送便』前編集長）である。夢の中でのボーリングが職場のレクレーションとして企画されたものであるなら、横田さんと酔流亭とは一緒の職場にいたことはないので彼が現れるはずはないのだが、そこが夢というものの出鱈目なところだ。

そこから先がどうなったかはわからない。目が覚めたら、まだ暗い。夜中である。

8月は死者を想う月といわれる。そういうことか。

それからまた眠りに落ち、夜明け前、蜩（ヒグラシ）が鳴くのを聴いた。あのカナカナカナ～という物寂しい鳴き音をこの夏初めて聴く。

百日紅。後ろの青い葉は柚子の木。