新人事制度 大阪での報告①~③
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『伝送便』9月号に載ったこの文章を転写するのを忘れていた。パリにまつわる話題なので、パラリンピックが閉幕しないうちに。 同じテーマを8月26日更新記事に書いていますが、今日UPする文章のほうが詳しいです。『伝送便』では<神田五郎>という筆名で寄稿しました。 フランスの首都パリでは、先日閉幕したオリンピックに続き、現在はパラリンピックが開催中である(八月二九日~九月八日)。ふりかえれば、七月には総選挙での新人民戦線の画期的な躍進があった。フランスはさすがに一九三〇年代に反ファシズムの人民戦政府を成立させた国だ。本号一四~一五ページにはフランス現地からの最新の報告が載っている。 さてパリといえば革命の都でもある。一七八九年の大革命だけではない。一八七一年には三月二六日から五月二八日まで二か月間ちょっとの短い期間ではあったけれど、人類史上初めての労働者政府が成立していた。世にいうパリコミューンだ。同時代のマルクスとエンゲルス、後世のレーニンらによってプロレタリア独裁の見本と称揚された政府である。その面目躍如たる政策としてパン工場の夜間労働を禁止しているので、パリが話題になっているこの機会に紹介しておきたい。 一八七一年のコミューン成立後。まず四月八日、パリのパン焼き職人組合はコミューンに陳情書を出し、労働開始を午前五時にすること、寄生的周旋業者を全廃することを要求した。それまで市民の朝食に焼き立てのパンを供するためパン工場は夜通し操業していた。また周旋業者はパン焼き職人に対して奴隷商人のごとく振る舞っていたという。 四月二〇日、コミューン執行委員会はこの要望を受け入れ、パン工場における夜間労働の禁止は四月二七日からと定められた。 ところが、製パン業資本家は「営業の自由」の妨害だと、これに猛烈に抵抗して従わない。コミューンは夜間労働で製造されたパンは没収して貧困者に分配するよう行政各区に命令を送った。市庁舎前では夜間労働禁止を後押しする労働者のデモが行われる。かくて禁止令の施行は五月三日に決まった。五日、労働者による祝賀会がシャンゼリゼ通りのサーカス場(現在は取り壊されて存在しない)で行なわれた。一六日の夕方、約一五〇〇人のパン焼き職人が市庁へ感謝の意を表明して赤旗や組合旗を立てて参集した。 パリコミューンは五月二八日にはヴェルサイユ政府軍に鎮圧されてしまう。市中で問答無用で殺戮された者・ヴェルサイユに連行されて略式裁判で銃殺刑となった者など合わせて二万~三万人が犠牲になったと言われる。パン職人の夜間労働禁止はほんの短い間のことであった。しかし、本誌前号には、新東京郵便局で深夜勤従事者が今年に入って三人も亡くなったことが報告されている。夜間労働・深夜労働が健康をいかに破壊するか。その制限・禁止は今日においてもきわめて重要な課題だ。パリコミューンは、いかにも労働者政府らしいやり方でその方向を示していた。 ![]() (パリコミューンが発行した布令の一つ。これは軍事委員の更迭を告げている。) ここに書いた知識の仕入れ元は大佛次郎のノンフィクション『パリ燃ゆ』です。 ![]() ※8月26日更新記事も貼り付けておきます。 パリコミューンが禁止したパン焼き職人の夜間労働 : 酔流亭日乗 (exblog.jp)
by suiryutei
| 2024-09-06 06:52
| ニュース・評論
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