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新聞『思想運動』の10月1日付に寄稿した。最終面(12ページ)に掲載されている。酔流亭としては、俳句について何か書くなんて日が来ようとはまさか思わなかった。 130ページあまりの句集(1ページにほぼ3句ずつ載っている)の21ページ目に 戦中の茶碗に笑顔の兵隊さん という句がある。 去年7月に本郷のHOWSホールで開催された〔豊里友行写真展〕を思い出した。そういう茶碗を撮った写真が展示されていたからだ。 それは不思議な茶碗だった。抜き身の刀を振り上げる指揮官と、小銃に着剣して前進しようとする二人の兵隊が描かれている。敵陣への捨て身の突撃を敢行するところであるらしい。ところが兵隊は笑顔で、その楽しげな表情だけ見ると運動会の駈けっこみたいだ。 その茶碗は1998年に国吉勇さんが真栄里壕で発見した。国吉さんは6歳で迎えた沖縄戦において母親初め5人の家族を亡くし、高校二年生から遺骨収集を続けている。いまインターネットで調べてみると、真栄里というのは糸満市にあって、沖縄戦のときは小型の特攻艇を格納する壕が作られていた。沖縄県立第二高女の学徒によって編成された白梅学徒隊を祀る<白梅之塔>も建つ。特攻艇というのは、ベニヤ板で作られた粗末で小さな舟艇に250㎏もの爆薬を積み、米艦艇に体当たりしようというもの。 白梅学徒隊は動員された46名のうち22名が犠牲になった。特攻艇は初めから自爆目的だが、米艦艇に肉薄する前に攻撃され多くの命が失われた。 そんな悲惨な沖縄戦に突入する前、戦意高揚をはかるべく、<笑顔の兵隊さん>が図柄の茶碗が焼かれたのだろうか。 句集は沖縄戦だけを詠んでいるのではない。 大応援のスタンドの海光る 何句かある野球詠の一つだ。2015年7月、辺野古と高江の座り込み現場を訪ねたとき、那覇空港に着いて市内へ向かう途中にモノレール(ゆいレール)の窓から大きな野球場が見えた。スタンドは満席。後から思うと、その日は甲子園への沖縄県予選決勝が県内最大のセルラースタジアムで行われていたのだ。作者がセルラースタジアムのことを詠んだのかどうかはわからない。しかし、私は9年前のあの情景が目に浮かぶ。辺野古基地反対や米兵による女性暴行事件抗議の県民大会の会場としてもセルラースタジアムはお馴染みだ。 勝牛の綱は蜂起の島うねる 勝牛とは闘牛のようなものだろうか? 蜂起の2文字にどきりとする。島は沖縄のことなのか、それとも韓国の済州島四・三事件をイメージしたものか。 桑原武夫の「第二芸術」論におそらく悪く影響されて、私は俳句的なものに近づくのをずっと避けてきた。現実と向き合おうとするなら五七五の世界に遊んではいられないとばかりに。短慮であったなと思う。この句集の作者は俳人としても現実と対峙しているではないか。 戦争を止める目力木の葉蝶 著者にとって6冊目の句集は今年8月15日刊、沖縄書房、定価2000円(+税)。 ![]() ![]() ※関連して 〔おきなわ〕写真展を観て ~『思想運動』紙寄稿 : 酔流亭日乗 (exblog.jp) 新聞『思想運動』9月1日付の一面は、こうです。 ![]() 豊里友行第6句集『地球のリレー』(2024年8月15日刊、沖縄書房)。行商スタート!:豊里友行と出版社沖縄書房 (ti-da.net)
by suiryutei
| 2024-09-30 08:00
| 文学・書評
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Comments(2)
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