新人事制度 大阪での報告①~③
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新聞『思想運動』11月1日付(No.1106)に寄稿した文章を転写します。 9月19日の都心の最高気温はほぼ35℃で、まだ真夏の暑さである。その強い陽射しに照らされながら、大手町にある日本郵政本社前では正午から約30人が集まって〔郵便局員過労死家族会〕結成を高らかに宣言した。近畿から駆けつけた郵政ユニオンの組合員は「こんなこと(いじめによる自死)二度とくりかえさせないという決意で毎年抗議行動を続けているのに、次々と死んでいる。会社は何人殺すのかという思いで今日はやってきた」と声を張り上げた。家族会のホームページが把握している事例のうち過去5年間(2019年以降)だけでも9件だ。明るみに出ていないケースも多いと思われるので、氷山の一角であろう。
遺族が先頭に
そのあと参議院議員会館B103会議室において午後2時半から<発足の集い>が開催された。約50人の参加。会の正式名称は〔郵便局過労死家族とその仲間たち〕である。 発足へ中心となったのは、さいたま新都心局でお連れ合い(当時51歳)を亡くした小林明美さんだ。お連れ合いの孝司さんは強制配転された職場で営業の過重なノルマ(年賀はがき1人7千~8千枚の販売)等に責められ、鬱を発症して休職と復職をくりかえした末、2010年12月に局舎の4階から飛び降りて命を絶った。労働災害として認定され、日本郵便本社幹部が遺族宅を訪れ謝罪することで2022年に最終解決に至った。明美さんはそうした自身の案件だけでなく、近畿へ北海道へと飛び、自死者が出た郵便局の前で抗議を続けてきた。それを弁護士や労働者、他業種での過労死遺族が支える。例えば大阪西郵便局では2019年3月、29歳の青年が些細なミスを複数の管理者に執拗に叱責される日常の挙句、局の中で首を吊った。同局で働く仲間たちは局内の彼が自死した場所に献花台を作り、悼む一方で、当局の対応への抗議を続けている。自死があった3月に毎年開催されている追悼・抗議集会は、郵政ユニオンとJP労組の組合員が呼びかけ人として名を連ねる。JP労組の場合は機関としてではなく、本部路線に批判的な組合員たちの自主的な取り組みだが。 共同代表には小林明美さんとともに、札幌豊平郵便局でいじめや退職強要によって自死に追い込まれた36歳男性の遺族が就いた。発足の集いには社民党の大椿ゆうこ議員、共産党の伊藤岳議員も参加し、山添拓(共産)、大石あきこ(れいわ)の両議員がメッセージを寄せている。夕方からは厚生労働省内で共同記者会見が行なわれた。
深夜勤の場合は
パワハラによる自死が目立つ中で、異色なのは新東京郵便局の場合である。2月、3月、6月と、今年に入って半年の間に3人が心臓の疾患によって突然死した。年齢は62歳、51歳、52歳。勤続が2人は10年以上、1人は20年以上である。3人ともいわゆる非正規雇用で、深夜勤の専担者であった。実労働10時間に休憩1時間の拘束11時間である。仮眠なしで夜通し働いて、帰宅してもその日の夜また出勤だ。例えば深・深・明け・深・深・明け・休みで一週間。これがずっとくりかえされる。朝勤務を終えてから夜また出勤するまでそれなりに時間があっても、昼間に充分な睡眠をとるのは難しい。大抵4~5時間で眠りが切れてしまう。過労死認定基準の時間外労働が月100時間とか80時間というのは、それくらい時間外労働をしていると1日5~6時間の睡眠もとれないと推計されたからだ。5時間を切る睡眠時間が日常では脳や心臓がきわめて危険な状態になる。ところが深夜勤の常勤者は時間外労働をしていなくとも5~6時間の睡眠をとるのは困難なのである。発足の集いにおける講演で尾林芳匡弁護士も指摘したことだが、過労死の認定が、2021年改正で他の要因もより考慮するようになったとはいえ、時間外労働時間ばかりに偏重していると、パワハラ自死や深夜変則勤務による健康破壊をカバーしきれない。逆に言えば、郵便における闘いはそこを押し広げていこうとするものでもある。何よりもまず、被害者遺族が、そして今現在も職場でパワハラや悪労働環境に苦しむ労働者が声を上げ、手をつないでいこう。 ![]() ![]() ![]()
by suiryutei
| 2024-11-06 06:46
| ニュース・評論
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