新人事制度 大阪での報告①~③
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数日前、仕事帰りの電車の中で。 その日は夜勤だったので、上野駅から常磐線の快速電車に乗ったのは、午後10時半を回っていた。幸い、座ることができた。すぐ眠ってしまった。夏の疲れが出る季節である。 松戸を過ぎたあたりで目を覚ました。見上げると、頭上の網棚に漫画雑誌が置かれている。松戸駅で降りた乗客が読み捨てたらしい。退屈しのぎにと、手をのばした。 普段、開いたことのない雑誌だった。冒頭にアイドル・タレントの水着写真が2~3頁ある。そのあとの連載漫画もあまり興味を惹かれなかったから、数分で読むのをやめて、また網棚に戻した。これが、たとえば『モーニング』誌あたりだったら、『ジパング』とか『青春の門』(五木寛之のあの小説の漫画化です)とか、なかなか面白い連載があるので、読みでがあるのだけれど。その漫画雑誌は何というのだったか、誌名も憶えていない。 それで、酔流亭が目を覚まして、網棚の雑誌に手をのばしたときのことである。 斜め前に立って文庫本を読んでいた30代くらいとおぼしきサラリーマン風の男が「恥ずかしいなあ」とため息まじりに言ったように耳にした。 ちょっと混乱した。咄嗟には、彼が読んでいる文庫本について「むずかしいなあ」と独り言をつぶやいたのかと思った。しかし、酔流亭を目指して「恥ずかしい行為だ」と咎めたと解釈したほうが自然ではないか。 たしかに、あまり褒められることではない。 まず、50にもなった男が電車内で漫画を読んでいるというのは、いい光景とは言えない。つぎに、人が読み捨てた雑誌を手にするというのが、決定的にミットモナイだろう。我ながら、すこし恥じた。 しかし、こうも考えた。たしかに酔流亭がやったことは、立派な行為ではない。でも、といって、言葉に出して咎めるほどのことだろうか。人に迷惑をかけるようなことはしていない。 あるいは、あのグラビア写真が刺激的なヌードだったら、周囲の女性が不快感を覚えるということがあるだろう。しかし、イヤラシイというような写真ではなかった。ハタチ前後くらいの女の子が、その年齢の娘だったら誰が着てもおかしくないような水着で微笑んでいるだけのものである。それに、そこはパラパラッとめくっただけで通過している(本当ですよ。コドモに興味は無い)。 電車を降りてから気付いたのだけれど、それは、こういうことだったのではないだろうか。酔流亭はホワイトバンドを左手に巻いている。あのサラリーマン風の男は、それに反感を持ったのではなかったか。その反感が、ふっと口をついて出たのでは? もしそうだとすれば、この程度のことでも、何らかの意思表示をするというのは、つねに反感や敵意の視線を覚悟しなければならないということだろう。よく出回っていると聞きながらも、通勤の勤め人でこのバンドを巻いている人をまず見かけないのは、そういうこともあるのかもしれない。 このホワイトバンドだが、世界の貧困問題に取り組む活動のシンボルということだそうである。一個200円で、売り上げの一部もそのための活動にあてられる。 酔流亭に疑問が全然ないわけではない。世界から貧困を無くそうというのは、大変な課題である。途上国援助の増額でどうなるというものではない。弱肉強食のシステム下では、援助が新たな搾取の導入口になる危険だってある。世界の構造そのものを変えるところまで踏み込まなくてはならないだろう。ロンドン・サミットでも貧困問題への取り組みは重要なテーマだったが(テロでかすんでしまったけれど)、イラク戦争を支持した同じ人間の口からそれが語られても、「何だかなあ」と思わずにはいられない。 それでも、貧困問題に関心が向かうことはいいことである。そう考えて寝るとき以外はホワイトバンドを手首に巻いている。すくなくとも、自分が金儲けしやすい社会にするために「今こそ改革を!」とのぼせあがるよりも、ずっといいことだ。
by suiryutei
| 2005-09-08 14:09
| ニュース・評論
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