トランプ×ゼレンスキー、水島朝穂さんの見方にほぼ同感

今朝、午前5時過ぎにパソコンを起動したとき画面に表示された我孫子市の気温は－1℃であった。明け方はまだ寒い。しかし、夜が明けるのはずいぶん早くなった。外はそろそろ白み出している。このあいだまで、午前6時近くなってもまだ暗かったのに。冬至と夏至との中間点まで、あと10日ほどだ。ことに春先は日にちが過ぎていくのが本当に早い。

今日は休刊日なので朝刊を取りに戸外に出なくてもいい。新聞を読む替わりのつもりで、水島朝穂さん（憲法学者、早大名誉教授）のブログを久しぶりに覗いてみる。6日に更新されていて、世界の耳目を集めたトランプとゼレンスキーの会談について論じている。

直言（2025年3月6日）「トランプの平和」（Pax Trump)と「ウクライナ戦争」─ＮＡＴＯの終わりの始まり？

これは正確な分析だと思う。下に一部を抜き書きしておくが、興味を持たれた方は上に貼り付けた水島さんのブログの全文を読んでほしい。

「トランプの＜ゆすりとおどしの外交＞に、彼のいうところの＜そこそこ成功したコメディアン＞（modestly successful comedian）は見事にはまった（嵌められた）といえる。NHKが公開している大統領執務室における2人のやりとりを見ていると、トランプはあえて記者の面前で（つまり世界に向かって）、ゼレンスキーを吊るし上げ、退場宣告をする機会をつくったのではないかと推察される。ネットには＜公開処刑＞といういやな言葉も見られる。ドイツの次期首相となるフリードリヒ・メルツ(キリスト教民主同盟(CDU)党首) は、これは＜意図して引き起こされたもの＞と珍しく鋭い指摘をしている(『シュピーゲル』3月3日)。いずれ自分もその場所に座ることになると想像しての発言だろう。メルツに比べて、石破首相と日本の外務・防衛・官邸官僚たちの認識の甘さは救いようがない。」

「 この前代未聞のやりとりに発展するきっかけとなったのは、J.D.ヴァンス副大統領の発言である。ヴァンスの突っ込みにゼレンスキーが即座に反応したところから、トランプとの間でも、首脳会談ではあり得ないような言葉の応酬が始まったのである。NHKがまとめたトランプ・ゼレンスキーの＜やり取り全文・後編＞を見ると、トランプ＝ヴァンスによりゼレンスキーが追い込まれていくのが手にとるようにわかる。」

「 前編と中編では、記者の質問にそれぞれが答える場面が続いたが、終わりに近いところでヴァンスが発言を始めるや、流れは変わる。それに引き出されるように、ゼレンスキーは、2014年からのオバマ、バイデンの関与に触れてしまった。ここでトランプが＜2015年だ＞と発言し、ヴァンスが＜2014年から2015年＞と補足したのが注目される。オバマ政権のジョー・バイデン副大統領と、ネオコンの反ロシアの急先鋒、ヴィクトリア・ヌーラント米国務次官補らによるウクライナ工作（＜マイダン革命＞）にゼレンスキーが踏み込んだために、トランプがきれたわけである。トランプの発言には、バイデン・民主党政権への怒りと怨念に満ちている。」

「2014年のオバマ政権時代、バイデン副大統領をトップに、前述のヌーラント国務次官補らがウクライナの＜民主化運動＞を援助・助長・促進し、親露派のヤヌコビッチ大統領を追放した(＜マイダン革命＞)。これがプーチンのクリミア併合につながった。あえてロシアを引き出す作戦である。バイデンが大統領になるや、2022年2月のウクライナ侵攻を誘発した。1991年の＜ブッシュの湾岸戦争＞は、フセインにクウェート侵攻をやらせた上で叩く＜飛んで火に入る夏のフセイン＞だったが（直言「湾岸戦争20周年と「意図せざる結果」」参照）、今回は、プーチンにウクライナを侵攻させて、事前に武器を与え、訓練までしておいたウクライナ軍に叩かせる。＜飛んで火に入る冬のプーチン＞という例えになるだろうか。」

今日の更新はひと様の言説の紹介ですませます。ご容赦を。酔流亭は今週は労働者文学賞の小説部門と評論ルポ部門の応募作の読み込みに費やすつもり。合わせて38編ある。4月に最終選考会があり、それまでに最終選考に残す数編を絞り込まなくてはならない。

※ロシアとウクライナの戦争について酔流亭の考えは、この過去記事に。3年近く前の更新記事だが、基本的なところは現在も変わっていない。

ウクライナの戦争に　～【いてんぜ通信】22年夏号寄稿 : 酔流亭日乗