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新聞『思想運動』No.1111(4月1日付)に寄稿した文章を転写します。なお安和桟橋で去年6月に起きたダンプ死傷事故については〔オール沖縄〕が事件後に出した文章をリンクしておきます。酔流亭寄稿の全文は写真の下から。 沖縄県名護市の安和桟橋前で死傷事故が起きたのは去年6月28日午前である。辺野古新基地建設の埋め立て用土砂を運ぶダンプカーの出入りを遅らせるため牛歩による抗議行動が行なわれていた。72歳の女性が仲間と一緒にダンプカーが出てくるのに抗議、それを規制しようとした47歳の綜合警備保障会社(アルソック)男性警備員とともにダンプカーが左折するのに巻き込まれ、女性は轢かれて大腿骨や坐骨を骨折、警備員は頭を強く打って死亡した。女性も骨折だけでなく大量の内出血が止まらず、運び込まれた病院での手術は10時間に及んで、家族は医師に延命治療をするかどうか相談されるほどの重体であった(そのご快方に向かった)。痛ましい事故であり、亡くなられた警備員の方にまず哀悼の意を表したい。 事故の背景および当日の模様は本紙第1104号(去年9月1日付)2面で西浦昭英さん(名護市在住)が詳しく報告している。抗議者が横断するとダンプを1台出すという暗黙の了解が破られ、警備側がいわゆる<2台出し>をさせる中で起きた事故である。 その根因は沖縄県民の意思に反した基地建設のスピードアップにこそあるのに、それには触れず警備員の死の責任を抗議行動になすりつけようとする言説が横行している。事故の後、7月10日の県議会代表質問において、自民党の島袋大県議は「出入口での牛歩は刑法の威力業務妨害が成立するのではないか」と玉城デニー沖縄県知事に迫った。 威力業務妨害を持ち出すのは、関西生コン労組のストライキ防衛のため労働法に認められた正当なピケットを刑事弾圧の対象としたのと同じ発想だ。だが、いま詳しくは述べられないが、つい2月26日、同労組の争議行為に恐喝罪を適用しようとした検察・警察の企てを京都地裁は不当とし、無罪判決を出した。労組の争議行為や市民団体の抗議行動を刑法の対象とするのは警察国家のやり口であり、日本国憲法の下では通用しない。させてはならない。 歪んだ言説を許すな 〔表現者クライテリオン〕というサイトに載った『醜悪な姿を晒し続ける平和主義者たちー安和桟橋におけるダンプカー死傷事故を巡ってー』(藤原昌樹)なるどぎついタイトルの論説がネットで読める。そこでは抗議運動に対して「彼らの中には<亡くなられたのが警備員の男性であり、抗議運動をする女性ではなかった>ことを残念に思っている輩が少なからず存在しているのではないかと思えてなりません」とまで書く。重傷を負った女性がもし命を落としていたら「殉教者」「シンボル」として利用できたのにそれができず残念だろう、というのである。語るに落ちている。現に警備員の死を抗議運動攻撃の材料に最大限使っている自分を語っているからだ。 この論説は、抗議運動の側が事故の責任をもっぱら警備員とダンプカーの運転手に押しつけているかのように描き出す。事実は違う。抗議運動が主張しているのは警備員も運転手も工事強行の被害者だということだ。警備員や運転手は生活のため工事現場で働いていても、同じ沖縄県民であり、県民投票では基地建設反対に票を投じた人だっている。彼らと抗議運動を反目させようとするたくらみに乗せられてはならない。重要なのは労働組合の動きだ。 三つの労組 『琉球新報』の去年9月29日付記事『信なき現場安和事故3ヵ月<上>』にはアルソック労組の小又寛委員長への聞き取りが載っている。安和の事故原因を究明しない会社に対して、小又委員長は「政治的な意図が絡み、大げさにしたくない心理」云々と述べている。同労組は9月13日、アルソック本社の村井豪CEOらに原因究明を求め、殉職した警備員への手厚い対応を要望した。 「アルソックに問い合わせをしても回答する立場になく、返答を得られることはありません」 委員長が勤務するグループ会社の人事部長を通しての回答である。 同労組は2021年7月、アルソックの子会社の一つアルソック昇日に勤務する警備員によって旗揚げされた。違法残業を告発して未払い賃金を払わせたりしている。辺野古の工事現場に立つ警備員の間では組織はまだ拡げられていないようだが、今後の動きに注目したい。 「防衛局から搬入量を増やすよう要請があった」と複数の同僚から聞いた、とする元アルソック社員の証言は重要だ(9月20日『沖縄タイムス』)。 『沖縄タイムス』9月27日付〔論壇〕に投稿して、事故につながったダンプカーの<2台出し>に防衛局から指示があったのは明確だと指摘した穴井輝明・沖縄県労連議長は、うまんちゅユニオンの書記長でもある。 うまんちゅユニオンは2001年に3人の労働者によって結成され、その後ホテル清掃や運送業などで正規・非正規を問わず組合員を増やしている。<うまんちゅ>は漢字をあてると御万人。沖縄の言葉で<みんな>という意味だ。1人でも加入できるゼネラルユニオン(一般労組)である。注目すべきは、去年1月、辺野古新基地建設の土砂運搬を担う運輸会社のダンプカー運転手12人によってうまんちゅユニオン司支部が結成されていることだ。同支部は安和事故の少し前である6月10日、待遇改善を求めて終日のストライキを打ち、時給100円アップをかちとっている。10月には辺野古新基地建設工事に係わる警備員、ダンプ運転手を対象にアンケートを実施した。「加害者とされた運転手も含めて、辺野古埋め立てを急ぐ国策遂行の犠牲者だと考えます」と述べた上で、働き方・働かされ方について意見を募った。 米艦船が寄港すれば抗議ストライキを構えてきた全港湾石垣支部は、2月に日米艦艇が石垣港に入港した際には自衛隊車両の輸送は取り扱わない態勢を組んだ。労働者の生活を守り安全衛生を確立する闘いは戦争に反対することにつながるし、つなげていかなくてはならない。新基地建設工事に係わる労働者の中に労組が作られ、拡がっていくことは、安和における牛歩の闘いが創り出してきたような互いの立場を汲み合っての非暴力抵抗に欠かせない。 ※下の写真は掲載紙『思想運動』の一面表紙。イスラエル軍によるパレスチナのジェノサイドに抗議している。 ![]()
by suiryutei
| 2025-03-31 08:29
| ニュース・評論
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