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NHK朝ドラ『あんぱん』の今朝の放送のことだ。主人公の一人で、美術系の学校に進学して東京に出て来た嵩(たかし)が銀座をぶらついて、書店でだったかな、本棚から井伏鱒二『厄除け詩集』を抜いて手に取る場面があった。その同じ棚の横には川端康成『浅草紅団』なんかも並んでいる。時代は大陸で盧溝橋事件が起きた(ここから日中戦争が拡大していく)1937年。 なお井伏鱒二は1898年、川端康成は1899年生まれだから、ほぼ同世代の小説家である(酔流亭の好みを言わせてもらえば井伏のほうが好きだ)。またネットで調べると、嵩のモデルであるやなせたかしはこの時期、東京高等工芸学校に通っていた。同校は現在の千葉大学工学部の前身だそうだ。 さて4月30日の更新記事で酔流亭はこんなことを書いている。 ・・別の場面で阿部サダヲが演じるパン職人がたしか嵩に向かってだったか 「花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラだけが人生だ」 という言葉を引いて励ますのだか教訓を垂れるのだかする。 この「花に嵐・・サヨナラだけが・・」 は『勧酒』という昔の中国の詩を井伏鱒二が意訳したもの。彼の『厄除け詩集』に載っている。 『厄除け詩集』の出版は1937年だ。『勧酒』意訳の初出は「作品」という雑誌の1935年3月号らしい(『中島健蔵に』と題した7編のうちの一つ)。 すると、高知の田舎町に住む阿部サダヲのパン屋がドラマの現進行時点でこの文句を諳んじているのは、少し早いのではないかしら。彼が文学好きで最新の文芸誌をすぐ手にとる人だったらぎりぎりでセーフ? うーむ。「花に嵐・・」はこんにちでは誰もが口にする名セリフになっているけれど。 重箱の隅をつつくような話で失礼しました。 6日前のこのブログでのつぶやきを耳に留めて応答してくれたみたいな今朝の場面である。もちろん我がブログの発信がNHKに届くわけはないし、そもそも今朝の放送回が収録されたのはしばらく前のことであろう。ただ、6日前に阿部サダヲ扮するパン職人が諳んじた井伏鱒二の名訳の出典を明らかにする場面を挿入してみせたのは、なかなか律儀なことと感心する。 6日前の更新記事では、原詩のことを「昔の中国の詩」としか書かなかった。もう少し丁寧に述べておくと、唐代の于 武陵(う ぶりょう、810年 -?)という詩人の『勧酒』と題する詩だ。 下の写真は我が本棚から抜いた井伏の随筆集からたったいま撮影した。『勧酒』はページをまたいで掲載されているので、上の写真の左側から下の写真の右側へと読んでください。
by suiryutei
| 2025-05-06 08:59
| 映画・TV
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Comments(3)
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