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『労働者文学』という雑誌に初めて文章が載ったのは11年前、2014年の夏であった。『深夜労働』と題するルポルタージュである(『労働者文学』No.75)。 「あなたの職場のこと、書いてみない?」 そのころ労働者文学会の事務局長をされていた岩見崇(たかね)さんにそう声をかけられたのである。もうすこし詳しく言うと、同会の特別幹事であった清水克二さんが、あいつに何か書くよう唆(そそのか)したら、みたいなことをどうも岩見さんにおっしやったらしい。清水さんは全逓東京中郵支部における大先輩であったから酔流亭は同労組青年部のころから面識はあった。清水さんは去年8月、92歳で亡くなられた。 今度は岩見さんの訃報を聞く。やはり92歳だという。 労働者文学会の会員で共有するlineには昨日から悼む声がいくつも寄せられている。他の会員も酔流亭と同じような体験を振り返る。書いてみることを岩見さんに勧められたというのである。<種を蒔く人>という言葉が頭をよぎる。 去年の春先、岩見さんのご自宅から本を何冊も頂いてきた。身辺を整理するので書架から好きな本を持って行っていいというありがたい話であった。大佛次郎『パリ燃ゆ』の箱入り3巻本(朝日新聞社)など立派な装丁の本も頂いてきたが、酔流亭が以来いちばんよく手にとるのはこの文庫本だ。 鳩居堂の包装紙でカバーされ、背表紙には「キャラメル工場から」と題名を手書きした白い紙が貼ってある。岩見さんは書道をされていたので、銀座の老舗文房具店を利用されることもあったのだろう。 1955年6月1日付の初版。ページには付箋がいくつも貼られ、巻末の小田切秀雄による解説にもあちこちボールペンで傍線が引かれている。くりかえし読んできたことが覗える。文学を志す女性労働者にとって佐多稲子という小説家がどういう存在であるのかわかる気がする。 ご冥福を祈ります。
by suiryutei
| 2025-05-21 08:09
| 文学・書評
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