新人事制度 大阪での報告①~③
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昨日の午後はHOWS(本郷文化フォーラムワーカーズスクール)の講座に参加して長谷川宏さんのお話を聴いた。 長谷川さんは1940年生まれ。68年の東大闘争を機に大学を離れ、自宅で学習塾を開きながら著述を続けてきた。この日の講座で指定されていたテキストは氏が2015年に出した『日本精神史』(講談社、2015年刊)であったが、酔流亭はそれは未読。しかし、ずっと前に氏の『丸山真男をどう読むか』という新書(講談社現代新書、2001年刊)は読んだことがある。丸山真男については色々な人がいろんなことを書いてきているけれども、酔流亭は長谷川さんの論が今でもいちばん腑に落ちる。それで昨日の講座にも参加してみたくなった次第。 長谷川さんはいかにも好好爺という風貌だ。経営する塾でも生徒たちに「おっちゃん」と呼ばれているという。左右の耳が立派。あの大きな耳で、自分とは違っていてもどんな人の意見でもきちんと聴き取ってきたのであろう。反論はちゃんと相手の話を聴いた上でやるのである。 話の中で中野重治の名前が出ていた。中野は1930年代に転向するが、それからの身の処し方が立派である。酔流亭はちょうど今、中野の『あけびの花』という作品を読んでいるところなので、講座後半の質疑応答のとき挙手して発言した。 『あけびの花』は小説ではなく随筆集だ。1940年代に入って、戦時下、転向作家として当局の監視下におかれた苦しい状態の中で書かれているが、おかしなことは書いていない。『汽車の罐焚き』も転向してじきの小説(37年)で、国鉄の機関助士の労働を描いて素晴らしい。自分は郵便局で働いてきたけれど、自分の労働を『汽車の罐焚き』のように書いてみたいとずっと思ってきた。・・というようなことを発言したら、長谷川さんは笑顔で頷いてくれた。きっと長谷川さんも『汽車の罐焚き』を高く買っているのだろう。 昨日は夕方から〔酒童塾〕の集まりがあったので、講座の後の懇親会には参加できなかった。〔酒童塾〕の集まりとは、名前が名前(酒童)だから、つまり呑み会である。塾と言っても、長谷川さんがご自宅で開いている学習塾とは違う。でも、こちらも愉しかった。後日に書く。
by suiryutei
| 2025-06-15 08:55
| 文学・書評
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Comments(2)
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中野重治のこの巻の収められている「鬼子母神そばの家の人」が興味深いです。この随筆のテーマは左翼のアジト設定のことでで、いわゆる「人民の海」ですね。中野は当時偽名でこの貸間を借りていたのでしょう。大家さんは当時の中野のことを活動家か否か知っていたのか中野は「わからない」と書いていますが、私はきっとわかっていたのだと思います。中野も「優秀な庶民の塊」と書いて感謝しています。
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墨田のカッパさん、おはようございます。
いま「鬼子母神そばの家の人」に目を通しました。1929年に発表され「三年ばかり前」の話だと書き出されていますから、1926年ごろのことですね。中野は東大新人会の活動などで忙しい日々だったのでしょう。この大家さんのところの長女、いいですね。 一昨日の講座で長谷川宏さんは「萩のもんかきや」という作品に言及されていました。好きな作品のようです。これもこの巻(全集26巻)に収められています。
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