|
新人事制度 大阪での報告①~③
記事ランキング
最新の記事
タグ
労働(124)
最新のコメント
カテゴリ
最新のトラックバック
以前の記事
2026年 04月 2026年 03月 2026年 02月 2026年 01月 2025年 12月 2025年 11月 2025年 10月 2025年 09月 2025年 08月 2025年 07月 more... ブログジャンル
画像一覧
検索
|
昨日は第37回労働者文学賞の受賞作品合評と表彰式が行われた。於 小石川後楽園・涵徳亭。 小説部門では右が入選作『看護助手』を書かれた芹田晃治さん、左は佳作『にぎやかな水』を書かれた中沢正機さん。佳作にはもう一遍『おめさん、出世するよ』が選ばれているが、作者の降延春賀さんは遠方にお住まいで欠席。 酔流亭執筆選評から3作に論及した箇所を引いておきます。 『にぎやかな水』中沢正機 主人公は水道料金徴収員です。水道といえば公共サービスですから役所の水道課なり水道局の管轄ですが、滞納世帯には戸別訪問してから料金を徴収、それでも払ってくれなければ給水を停止するといった作業はアウトソーシングされて、民間の事業所が請け負っています。その業務の苦労が、また滞納世帯の生活ぶりが具体的な記述から覗われます。本当に貧しくてガスも水道も停められた一人暮らしの老人もいれば、ズルして料金をごまかしている富裕層もいる。それに対する主人公の感情の人間的な起伏が軽快な筆致から伝わってきます。 『看護助手』芹田晃治 主人公も若い新人女性看護師に「芹さん」と呼ばれていますから、ほぼご自身の体験に基づく作品と思われます。親子ほど齢の離れた、その看護師との掛け合いみたいな会話が活き活きしています(看護師のしゃべりが面白い)。インシデントとかステルベンという言葉は医療現場では日常的に使われているのでしょうが、説明が欲しかったところ。ネットで調べたら、インシデントは医療行為の過程で発生する予期せぬ出来事、ステルベンは患者が亡くなったことを指すそうです。自殺した患者の生前を指して「幽霊が幽霊になる前の・・」と表記した箇所などは、幽霊を見たわけでもないのに、と初読ではちょっと抵抗がありました。再読してキズが見えてくる作品と、逆に面白さに気づく作品があります。本作は私にとって後者。初めは見落としかけましたが、改めて読んで入選を諒とします。 『おめさん、出世するよ』隆延春賀 主人公の男性(40歳前後)は地方都市(新潟)の出版業界でキャリアを積んでいたのですが、出版業不況のあおりをうけて介護の仕事(デイサービスのヘルパー)に転職します。この選評の冒頭で述べたような雇用社会の変容が作品に反映しています。主人公と利用者の会話に出てくるプロ野球選手の名前から、時代設定が2013年ごろであるのがわかりました。介護労働が詳しく描写されているし、なかなか正規雇用にせずに有期雇用で安く働かされている状況も覗われます。一方で作中の会話や人間造形がやや類型的なのが惜しいか。 選評の全文は下に。 合評と表彰の後は、文芸批評家で労働者文学賞の選考委員の1人でもある楜沢 健さんから『受賞作にみる現在』というテーマで講演をしていただく。 外は猛暑だったが、蝉しぐれを聴きながらの充実した午後だった。 空の雲はいくらか秋っぽくなってきた。 受賞作はいずれも雑誌『労働者文学』No.94に掲載されています。同誌の購読申込は下に貼った労働者文学会HPからどうぞ。
by suiryutei
| 2025-09-01 08:40
| 文学・書評
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||